改めて注目される台湾、今度は「教えを乞う」関係に

投稿者:nakajima 投稿日時:月, 2020-12-07 14:45

 中国が国家治安維持法を香港に適用したことに応じてアジアの政治地図の書き直しが始まったが、思想の自由や表現の自由、報道の自由が許されない中国の拡張主義への警戒感が広がっている。そうは言っても、依然として大きな成長率を見せる中国市場は日本企業にとっては魅力的である。経済的関係を太くするために政治的な事情には目をつぶる日本企業も少なくない。自由主義の日本ではその選択は許される。
 しかし、政治が経済を制約するリスクを感じて欧米所企業は香港から脱出する動きが出始めている。沖縄に知人が多い筆者のもとにも「香港から家族ぐるみで沖縄に移住しようと家を探している需要が大きくなっている」という情報が入ってくる。コロナによる渡航制限で現在はあまり実現していないようだが、この動きは言葉が共通の台湾の方が活発のようである。
 その台湾は政府、産業界ともに日本への熱いエールを送ってきている。11月下旬から12月上旬にかけて東京と沖縄で台湾の政策やDX推進企業を紹介する「台湾セミナー」が開かれた。筆者はそれに参加してショックを受けた。
 かねて日本産業界との連携を求めてきたことは、JASPA関係者はよく知っているはずだ。中国に配慮する経産省の指示があったのか、日本の組織は台湾の団体からの働きかけに反応せず、その中でJASPAは要請を受け入れていち早く台湾のソフトウェア組織CISAと連携、交流活動を進めてきた。その後、経産省の態度が緩んだので、多くの団体が台湾の組織と協力協定を結んできたが、一歩先を進んだJASPAメンバー企業は次々と台湾企業との提携を進めてきた。
 10数年前に台湾との関係が始まったころ、国際的競争力は日本の方が台湾より上位だった。しかし、今回、2019年IMD(スイスの国際経営開発研究所)発表の「世界人材力ランキング」で台湾20位、日本35位という結果をはじめ、いくつかの指標で日本は順位を大きく下げ、一方の台湾は大きく順位を上げて、逆転どころか、日本は台湾の後塵を拝し、先生として学ばなければならないことが沢山あると痛感させられた。
 さらに見逃せないのは米国の大手IT企業の台湾進出の加速化である。上記台湾セミナーでの報告では「マイクロソフトは10⽉26日、データセンターを台湾に設置すると発表」した。もろもろの投資額は3000億台湾元(約1兆983億円)を超える。▽クラウドサービスデータセンター設置、Azureハードウェアシステムのチーム設置▽産業⽣態系づくり▽国際情報セキュリティー資源の投入―が計画され、「台湾をアジアのデジタル転換の中枢とすることを目指す」という。
 またグーグルも「9⽉3日、台湾で3カ所目となるデータセンター建設計画」を発表した。投資額は200億台湾ドル(約720億円)程度。グーグルはすでに台湾に2つのデータセンターを持ち(一つは建設中)で、これが台湾で3つ目。「⽶国とアジアを結ぶ海底通信ケーブルの多くが台湾を経由していて台湾におけるデータセンターの重要性が増している」が、さらに「⽶司法省は6⽉、⽶国とアジアを結ぶ新たな海底通信ケーブルについて、香港との直接接続を認可しないよう求め、代替先に台湾を挙げた」事情がある。グーグルも8⽉14日、「香港国家安全維持法」の施⾏を受け、今後は香港当局によるユーザのデータ提供要請には応じないと表明」し、台湾のアジアでの存在が大きくなっている。
 日本の政府、企業も現状を冷静に認識し、「台湾に教えを乞う」姿勢で台湾とのパイプを太くしていかなければならないのではないか。