「女性差別発言」は「デジタル後進性」と根っこは同じ

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2021-02-14 23:29

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の「女性蔑視発言」の過熱報道は炎上狙いのマスコミのツボにはまって森会長を轟沈させてしまったが、会長が辞任して終わり、という問題ではない。バラエティー番組で何人かのコメンテーターが言及しているように、森会長個人ではなく日本社会の体質の問題である。根は深い。
 日本社会の中では企業においても行政組織においても、女性比率が極端に低い。世界経済フォーラムがまとめた「世界ジェンダーギャップランキング」で153か国中121位。これを話題に上らせると、「そうは言っても、幹部に登用できる女性、経営者に起用できる女性が実際にいないんだよ」と困惑顔の経営トップが多い。
 よく考えると、現状はそう思えるに違いない。経営者は「登用できる女性がいないのだから仕方がない」と本気で思っている気配があるが、実は長い間、女性が登用できない壁を作ってきたのは、あるいは、できあがった壁を壊そうとしなかったのは現在の経営者たちなのである。他人事のように「登用できる女性がいない」というのは罪が重いと言わざるを得ない。女性登用の仕組みを作ってこなかったのが原因なのである。他の国は作ったのに日本でできなかったのは「作らせない」圧力が働いていたのではないか、と疑わせる。
 この状況は日本のデジタル化の後れの原因を思い起こさせる。
企業の中では、ペーパーレスの業務システムを導入しようとしたときに、経営者、幹部の抵抗が導入を遅らせた。ようやくそれを受け入れて慣れたところでメーンフレームの比重を減らすスマホ利用、クラウド利用の新しい波が訪れ、今度はデジタル化に対する抵抗勢力になったのではないか。特に、コロナで渋々例外的に一時利用を認めた在宅ワークでは、「老害」とは言わないが、保守的な幹部の抵抗が目立つ。コロナが収束したら、また、元に戻そうという意図が強く出ているように思われる。
 「やはり、在宅ではできない業務がある」「セキュリティは不安だ」など、在宅を否定する発言がやまない。これまでの業務システムや社内規則が在宅ワークを想定していないので矛盾があるのは当然で、これを改正すべきなのだが、抵抗する保守的な方は「だから在宅ワークは無理」と結論付ける。これまで女性が登用できない仕組みを続けながら「この仕組みに合わない」と言って「女性登用は無理」と主張するのと重なる。
 今回の「森会長発言」露呈した日本社会の後進性は、デジタル化が進まない日本社会の後進性と同根である。デジタル改革を早急に推進するには、女性の登用を阻害してきたのと同じ保守的発想の岩盤を打ち壊してゆかなければならない。