H23年度Jaspaセミナー報告

投稿者:jaspanet 投稿日時:金, 2011-09-23 16:24


9月7日(火)

組合企業が成長するために組合は何をすべきか

~パラダイムシフト期のクラウド事業・転換支援の方向~ 

JASPA会長 中島 洋

ソフト業界を巡る環境は、「東日本大震災」「欧米の経済劣化と東アジアの急成長」「福島原発事故の巨大な余波」「IT産業界に押し寄せるクラウド化・スマホ化」「ユーザー企業のシステム構築力向上」に表わされるように社会の仕組が変わる時期に膨大なシステム開発需要が予想されており、その責任を担えるかが課題である。
JASPAは中小ソフト業界最大の組織として、業界動向の情報交換・対外活動、中央官庁、政界への要望、要請とりまとめ、問題関心を共有化するための会合と情報提供等を行っており、期待に応えていくことが求められている。 

ユーザー企業は自分のシステムを自分で作る

~「ユーザー主体開発」「システム内製」の再来にどう備えるか~

日経BP社 コンピュータ・ネットワーク局 編集委員 谷島 宣之

俊敏な経営が求められており、それに応じて情報システムを整備しなければならない。そのために、ユーザー企業は自分でシステムを素早く作る力を取り戻す必要がある。クラウド環境において、ユーザー企業はサーバーの導入や設定、メモリーやストレージの増設作業から解放され、その分、アプリケーションの設計と開発に人と時間を投入でき、ユーザーが主体性を取り戻すことに注力できる。システムイニシアティブとは、自社の事業のしくみを理解し、ビジネスを成功に導くために、ビジネスの現場に対して、早く、最適な解決方法を届けるべく、主体的にシステムを開発するシステム担当者の姿勢を表す。IT業界においては、今後は「多能者」が求められ、SE(システムズエンジニア)の時代再び到来するだろう。

ユーザーのIT投資半減経営の方向とその実践

~OSS/クラウドによるシステム開発と運用~

合同会社GoodEggしくみや代表 山原 雅人

ユーザー主体開発においては、現場乖離を解決するためにBPM(ビジネスプロセスマネジメント)の考え方を導入し導入後も継続して業務とシステムを連動改善すること、
システム構築企業を選定する前に業務とシステムの徹底的な現状分析と、あるべき姿を「BPMN」で描くことが効果的である。
中堅、中小ITベンダーは、オープンソースソフトウェアに関する技術知識を積極的に得て、SaaSビジネス、及びSaaS、PaaSを使うユーザー企業を支援するビジネスの展開が課題である。さらに、要件定義で業務の徹底的な現状分析、経営改善が提案できる人材を育成することで「強み」を作り、正しいビジネスプロセスフローを描ける業務理解力のあるファシリテーターとしてのプロジェクトマネージャを育成することである。

オンプレミス型からクラウド型事業への'転換'

~クラウド環境対応Ajax/Java開発ツール「WaveMaker」~

株式会社マキシマイズ 代表取締役 渡邉 哲

オンプレミス型IT事業の特長は、建設業的なハード・ソフト一体導入により大手SIerに有利な元請け下請モデルに適した構造である。一方、クラウド型IT事業の特長は、リソース集約/ハードという概念の消失/クラウド事業者が運用監視を提供するというニッチに強いベンチャーに有利な構造である。
WaveMaker社は、2008年3月設立(本社:サンフランシスコ市)され2011年3月、VMware社が買収した。レガシーのオープン系システムを移行する次世代プラットフォームで、データセンター、プライベートクラウド、パブリッククラウドの全てにデプロイ可能であり、クラウド・コンピューティングへの取り組みを容易にする。

スマートデバイス利用によるAgile経営への'転換'

~ビジネスワークスタイルの変革を実践するアプリケーション開発~

株式会社ティーガイア ソリューション事業本部ソリューション推進部長 阿部 詔一

PADの用途は、セールス・業務支援ツール、プレゼンテーションツール、デジタルサイネージ端末、電子書籍、顧客入力端末等で、開発のポイントは、サーバー重視の端末/クライアント重視のモバイルツール/ヴィジュアル重視のプレゼンテーション端末、業務に合わせた操作性重視の専用端末等が望ましい。国境を越えた市場競争の中で、ITプラスアルファの知識、独自技術、深い業務知識、デザイン能力、即応性、品質力が求められる。

SNSのビジネスへの用途開発の方向とその実践

~コンシュマーの「ニーズ探索/ウオンツ開発」の事例~

TBGコンサルティング 代表 石田 麻琴

facebookは、13歳以上であれば無料で参加でき、実名登録制で、個人情報の登録も必要。BtoB、BtoCのfacebookページの活用、ソーシャルリクルーティングに活用できる。Twitterは2011年3月時点での国内利用者数は1,700万人。「ツイート」 (tweet) と称される140文字を上限とした短文を投稿。マーケティングツールとしてまた業界のハブを探すツールとして活用できる。Mixiは2011年3月時点での国内利用者数は1,300万人、15歳未満の者の参加は禁止。通常の広告枠として、またmixiコミュニティを活用できる。Linkedinはビジネスマッチングに特化したSNS。2011年3月の登録ユーザーは全世界で1億人を超える。リクルーティング、ビジネス依頼の他、海外ビジネスマンとのコミュニケーションに活用。Google+は2011年7月、Google+のユーザー数が2500万人に到達し、日本国内での利用者数は30万人程度と見られている。

中小SIベンダーのクラウド事業参入の'ポイント'とは

~'現場当事者'の本音と今後の事業成果に向けての想い~ パネルディスカッション

株式会社コムチュアマーケティング 代表取締役社長 松田 孝裕
株式会社IIJ 執行役員マーケティング本部長 松本 光吉
株式会社船井総合研究所 第一経営支援部 江尻 高宏
株式会社インプレスビジネスメディア 取締役 田口 潤

現状、クラウドは、中堅中小企業へのアプローチとしてのノックツールとしてとらえ、SIに繋げていくことが可能である。勘定系よりはフロント系のニーズが高い。クラウドは規模の経済効果が発揮できる。情報化が遅れている市場に目を向け、クラウドの利点を訴求し参入していくことである。クラウドの参入に際しては、異業種を含む「協業」が効果的であろう。課金方法、セキュリティ面、クラウド間の連携等への対応が課題である。

9月8日(木)

中小SIベンダーのクラウド事業成功の原則

~中小SIベンダー「経営幹部の事業構造転換シナリオ」とは~

リンジーコンサルティング株式会社 代表取締役 入野 康隆

良い事業計画のポイントは、
1. ASPは市場浸透に時間ががかるので単月CFプラスまでの期間は日銭稼ぎに注力する
2. 少数精鋭開発部隊を揃える。
3. オモテ(エンドユーザー用)+ウラ(ベンダー、ユーザー企業管理者用)の機能を持つ
4. ASPサービスの金額は低いのでパートナーに頼らずに直販で売る意識をもつ
5. 「クラウド」ばかりをカッコつけて言わない
6. クラウドだからこそ、データ一極集中でコスト以外の付加価値を持つ
7. 投資に値する大きな数字を狙う。WACC(加重平均資本コスト)を重視する
8. 長期的なコツコツとした積み上げと立ち上げフェーズの倹約が必須であり地に足ついた経営者の人格が求められる

中小SIベンダーのクラウド事業参入の'マネジメント'

~JASPA会員企業の組織開発・人材育成の方向と実践~

「経営とITの融合(KIU)」研究会 変革プログラム・開発ディレクター 高橋 堅三

一過性の人月ビジネスから「ストック型ビジネス形態」・「サービス型事業構造」への転換が求められる。全ての企業がIT資産を持たなくなることは無いが、ユーザー企業のIS部門社員の能力は向上し、競争力を身につける。SIベンダーは中堅・中小企業のIT資産を持たない状況で「競争力基盤強化支援」にシフトし、「クラウドコンピューティング利活用能力」を高めるためJASPA会員が相互連携することが不可欠になる。今後は、「法人/個人利用の接点領域」が成長市場となるだろう。法人の事業競争基盤を支援する「廉価なアプリケーション」の領域では、スマートデバイス+PCの'ワークスタイル変革、個人の生活の利便性を支援する「廉価なアプリケーション」の領域ではスマートデバイスが牽引する'生活支援業態'の開発が求められる。
クラウド事業への事業構造転換を支援するのためJASPA会員と「クラウド事業推進センター」(仮称)を立ち上げていきたい。

東北大震災後の地方自治体及び公共機関におけるクラウド利用のインパクト

慶応義塾大学 SFC研究所 講師 株式会社流通戦略総合研究所 代表取締役社長 岡積 正夫

2009年9月、2010年1月には地域情報プラットフォーム準拠システムの実運用にむけた「相互接続確認イベント」が行われた。新システム調達の際は、「地域情報プラットフォーム」に準拠した、行政統合パッケージの調達・選定が前提となるが、業務システム(業務ユニット)によっては準拠登録製品の選択肢が限られるため、登録製品の有無、ベンダーの今後の対応予定等をRFIの実施などで確認しながら進める必要がある。RFI等による最新の情報収集を行った結果、「準拠登録製品(対応製品)が無い(もしくは、少ない)」等の理由により、地域情報プラットフォームに準拠製品以外での調達が最適となることもある。その際に重要となるのは、データ連携であり、定義されたデータ連携手法に準拠し、システム構築することが必須である。
復興に向け、被災しなかった他地域においても、今回の教訓を生かして、共通化、連携強化への取組みが課題である。