日本の農業に活路を見出すか?~~「AI農業」に注目する

投稿者:nakajima 投稿日時:水, 2011-11-30 13:31

 年末の恒例として、経済産業省の高橋情報処理振興課長とJASPA会長として対談した。その内容はいずれ詳しく掲載するが、そのTOPICの一つして議論した「AI農業」について議論の中身より少し詳細に論じてみたい。「情報産業にとって新しいジャンル」でもあるが、さらに今後、新しい市場を考えるうえでの参考になるからである。
 「AI」というとかつての流行である「人工知能(Artificial Intelligence)を思い出すが、ここではAgricultural Information、つまり「情報化農業」のAIである。もっとも、これでは「農業情報」にしかならないので、変な表現だが、ていねいに「AI農業」と呼んでいる。日本の農業は優れた品質の農産物を生産している。中国の富裕層が高い日本の農産物を取り寄せて食べているのは周知の事実である。
「コストのかかる日本の農産物は国際競争力がない」というのは必ずしも正しくない。大規模農業での機械化農法による「コスの安い海外の農産物とたいして品質の差が打ち出せない日本の農産物」は「価格面で国際競争力がない」というのがより正しい表現である。AI農業は、優れた品質の農産物を生産する技術力のある農業者のノウハウを「暗黙知」から「形式知」に転換させてデータベースに蓄積し、他の農業者が作業に当たるときに参照して効果的に優れた知識を獲得してゆく仕組みを作る。優れたトップレベルの農業者に絞ってノウハウを集積してゆくのがポイントである。
従来のITを利用した農業は多数のデータを集めて平均的な農作業を作ろうとしてきたが、そのような標準ではコスト競争に巻き込まれるだけで、優れた品質で非価格競争ができる農産物を生産する、というのである。
農業でもそうであるなら、工業製品でも同じことが言えないか。個性ある製品群で、価格では比較できない品質を生み出す。その製造工程を支援する道具として知識データベース、あるいはノウハウデータベースを構築して「匠の技」を継承してゆく。強い製造業を復活させるには大量生産ではなく、個性ある製品を生み出す仕組みの構築ではないのか。未来に光が見えたような気がした。