沖縄県ソフトウェア事業協同組合 株式会社情報システムヘルパー 代表取締役社長 大城健二様

会社を設立されたきっかけや現在に至るまでの苦労された点をお教え下さい。

20年前からIT産業の将来を見据えた時、ハードウェア販売主体のビジネスは廃れ、ソフトウェアビジネスに注力する事が発展に繋がると予見していました。

地方から全国へのソフト製品の出荷を目指し、平成11年に会社を立ち上げました。ニッチ市場のソフト製品開発を自社の柱としたいと考えていた最中、自治体職員から「将来的には文書管理システムが必要になる」とのアドバイスを頂き、開発協力を仰ぎながら開発資金は資本金及び借入金で賄い、自治体及び官公庁向け『文書管理システムJ.docヘルプ』の開発するに至りました。

開発には多くの時間と資金が掛かり、資金も底をつき始めた平成13年に伊江島村役場様と恩納村役場様に導入が決定し、経営を続ける事が出来ました。さらにe-japan構想の電子自治体が引き金となり、J.docヘルプ製品の拡販に弾みがでると期待をしましたが、平成14年の小泉政権時に『三位一体』の政策により、自治体の予算が圧縮されe-japan構想の電子自治体にブレ-キが掛かり、弊社製品の販売にも大きな影響が出ました。

開発投資が続いた為、再び資金難となり沖縄振興開発金融公庫様、沖縄県産業振興公社様から出資して頂き、また知人・友人等からの増資協力を仰ぐことで事業継続の目処が立ちました。その後も機能強化を行いながらV4.0まで提供し、県内で毎年数団体に導入され、自治体の30%の団体に導入するまでに至りました。

平成21年に公文書法施行を睨み、新たな投資として『J.docヘルプ』の後継ソフトとして『J.doc Suite』の開発投資を行い、平成23年から本格的な全国展開を開始しました。創業から13年の歳月で数億の投資を続けられるのは、『ソフトメーカーを目指す!』の一念のみであり、本当の成果が表れるのは平成24年度からだと思います。

製品開発投資は中小企業において大変な厳しさを伴うと痛感しています。沖縄でソフト製品の県外販売成功事例が少なく、金融機関等も支援をしたいがIT分野に疎いこともあり、保証協会が保証を渋ったりと資金調達には常に苦労が付きまといます。

公共団体、自治体、大学、向けに統合文書管理システムを導入されていますが、その他のシステムなど特徴や開発されたきっかけなどお教え頂けますか?

e-japan構想の電子自治体実現に向けて、平成13年から全国に文書管理システムJ.docヘルプを展開する計画でしたが、前述の小泉政権時の国予算のカットが行われることで、地方自治体でも予算が縮小される事でビジネスが停滞してしまう結果となりました。その中で民間向けの製品として、ファイリング技術を生かした電子ファイリングソフト『Docunchu-File』を平成21年9月にリリースしました。

電子文書をキャビネット(視覚)的に管理出来るソフトであり、ライセンスフリーの為、民間企業及び部門毎の電子キャビネットとして利用されています。富士ゼロックスの登録商品として売られており、全国のゼロックス営業が取扱い、発売から800ライセンス以上が出荷されるヒット商品となりました。

沖縄で組合の活動をはじめられたきっかけ、その後の活動において組合に所属されて良かったと思われる事等についてお教え下さい。

弊社の事業には大きく2つあり、第1は『チャレンジ事業』、第2は『タイアップ事業』です。

    ・チャレンジ事業: ハイリスク&ハイリターンのソフト製品開発投資
    ・タイアップ事業: ローリスク&ローリターンの受託開発と派遣事業による利益確保

チャレンジ事業を支えるには、タイアップ事業を堅実に行う事が重要です。一方、国・県等への提案事業については単独中小企業での提案は厳しいため、組合の組織力を生かした提案が可能ではないかと考え、当時の理事長(仲間孝雄)からの誘いもあり、入会に至りました。しかし、入会時の組合組織は個々の企業活動の合間の組合活動となっており、ビジネスの連携がされておらず、組合組織としては期待出来る状態ではありませんでした。

その後、組合内で意見交換を通し反省を促し、会員の若返りを図る等この7年間で真摯にビジネスへ取り組み、スポーツ交流を通しお互いの信頼関係の土壌を育み、それを基盤に大きな組織変革と、水平連携での企業間ビジネスの活性化をしました。

平成23年9月には県内IT産業6団体により構成される沖縄県情報通信関連産業団体連合会(IT連合)があり、沖縄振興に向けた「新たな計画」における情報通信関連産業の振興発展施策についての提言書を県に提出し、県の施策として採択に影響を与える至りました。厳しい経済状況の中でも、沖縄振興予算が2,900億円超、一括交付金1,200億超と大幅な予算となり、IT分野においても期待できるような状況となった事から、平成24年度は当組合にとっても飛躍の年になると信じ、更なる互助精神で組合活動に邁進したいと思います。

今後のJASPAの活動に対する要望等、是非お教え願います。

国内中小IT企業の発展を目指し、ビジネス構造の変革的役割を担うべく行政機関へ積極的に提言し、制度作りや調整を担って頂きたいと思います。特に国及び地方自治体のシステム開発については、国内中小IT企業に優先発注、未就業者や若年者の雇用の促進を目指すべく、企業の国外移転による税収機会の損失の阻止を働きかけ、また、大手メーカー系、大手SI企業を巻き込み海外に依存しない地方のIT企業活用による地域経済の活性化の働きかけお願いしたいと思います。

資金調達の面において中小IT企業がソフト製品開発投資に対する金融機関の特別な融資制度があれば、地方でも優秀なIT企業が生まれてくるのでは期待しています。

最後に御社についてそして、御社の開発されたソフトについて、PRを思いっきりお願いします。

平成23年4月から公文書法が施行され、官公庁・県・自治体及び関連団体は公文書法に沿った文書管理を行う事が義務付けられました。そこで文書管理を行う上では、現場に即した、文書管理システムの提供と同時に、業務運用のコンサルティングサ-ビスが求められています。弊社の『J.docSuite』は、永年の研究と導入サポ-ト実績に基づく使いやすいシステムである点と、弊社と大手企業グル-プが連携し営業を行うことで、全国の団体からの引き合いが一機に増え、通年の10倍のビジネス規模に発展しています。

平成23年度の県外商談においては、勝率49%と高い比率になりました。競合相手は全て大手メ-カ-系であり、その中で提案コンペではコンサルティング事業で培ったノウハウによるプレゼンテーションが評価され、価格は高いにも関わらず採用して頂きました。

当社は単なる価格入札では負けていますが、安く売るつもりはありません。独自戦略で地方の一企業がこの分野で活躍出来る喜びを噛みしめることで、平成24年度はさらに積極的に全国展開をする為の事業の整理集中を行い取り組む予定としています。

最後になりますが、今回の事業については多くの県内IT企業からも注目されています。事業を成功させることは、県内IT企業の優秀なソフト製品に対する金融機関の見方を変え、IT系ベンチャー企業に対する融資緩和に繋がることで、沖縄の発展に貢献出来るものと信じております。