クラウドへの自戒を忘れるな

投稿者:nakajima 投稿日時:月, 2012-04-30 22:49

「便利さ」は十分に享受すべきだが、その後の課題は、「用心」である。その典型は「クラウド」である。初期に啓蒙書「クラウド・コンピューティング・バイブル」を刊行した筆者としては、責任を感じるので、「用心」に触れてみたい。
クラウドの特色は「サーバーがどこにあるか分からない」である。そのメリットは、どこかのサーバーが容量いっぱいになると、サービスの側で空いているサーバーを利用するように拡張してくれるので、ユーザー側はサーバー管理の手間からフリーになることである。サービス提供側も無駄がなくなるのでコストが下がって、サービス料金が安くなる。他の広告収入などで補てんすれば、ユーザーには無料で提供できる。無料でなくてもその安さは魅力である。そこでクラウドを企業で利用する、SaaSのサービスのインフラとして利用する、という動きが活発になっている。
結論から言うと、それは危険であるから、やめたほうが良い。クラウドを利用するのは、人に知られても構わない、あるいは、人に広く知ってほしいような情報に限った方が安全である。クラウドを利用する際には、その情報がどこの国に飛んでいるか分からない、ということを意識すべきである。日本のように個人情報保護について厳しい規定があるところですら、本当に情報が完全に保護されているのか、疑わしいところがある。まして、政府のモニターが当たり前の国、治安維持機関が必要に応じてサーバーを押収することができる国に情報が飛んでいれば、情報の保護など無いに等しい。
具体的に言えば、グーグルのサービス、フェースブックのサービス、ツイッターのサービス、アマゾンやセールフォースのサービスなど、どの国で、どのように情報が扱われているか、十分に開示されていない。それがクラウドの良さだから、それらの情報が開示されていないのがコストメリットや豊富な機能を提供してくれるポイントなので、それを良しとするユーザーはそれで良いのだが、企業機密や秘匿すべき情報を扱う際には、クラウドを利用するのは、一度、立ち止まったほうが良いのではないか。
国によって情報を保護する法律も違うし、保護する範囲もかなり違っている。すべての国が日本と同等だと勘違いして頼り切るのは危険が伴う。便利なところは利用するが、危険なところは回避する、そういう配慮が必要な時期に来た。