情報資源の地方分散への発想転換を

投稿者:nakajima 投稿日時:土, 2012-11-03 23:25

 全国のデータセンターの72%が首都圏に集中しているそうだ。福島原発事故に端を発する電力不足の昨年、北海道、中国地方、九州、沖縄などに急きょ、代替センターを設ける企業も多かったので、一時期78%の集中率と言われたのに比べれば改善してきた。現在は、関西、沖縄などにディザスタ・リカバリ(DR)拠点として新たにデータセンターを計画する動きが活発になっているので、今後は集中率が低減すると思われるが、しかし、データセンター新・増設の状況をみると、かつてほどではないが、減少しているとはいえ、依然として、首都圏の案件の数はまだ目につく。

 東日本大震災以前に計画しているものが、今になって完成しつつあるという事情もあるが、それにしても計画を変更しても良さそうなものだ。データセンターの関係者に言わせると、顧客の方が、近くのセンターを望むので仕方がない、という声が強い。しかし、首都圏にこれだけの社会の重要インフラであるデータセンターが集中しているのは、災害時の国家リスクに対応策ができていない、ということである。

社会の重要インフラを民間企業に委ねているのだが、電気やガス、通信のようなインフラが、最初から社会インフラとして使命感をもって建設し、運用されているのに対して、データセンターのようなインフラは、最初は小さなものだったのが、急速に大きくなって社会インフラに成長してしまった。利益を最優先する民間企業が最初から今日まで全面的に負っているので、「社会的リスク」などよりも、「企業利益」に重心が置かれるのは無理もない。

しかし、繰り返し強調すると、企業が利益を求めるビジネスとして発展してきたデータセンターのサービスは社会の存続に欠かせない「社会インフラ」に成長してしまった。個々の企業の短期の利潤追求の「部分最適」を求めていると、長期的視野での社会リスクを回避するという「全体最適」には向かわない。その好例が「首都圏集中」という極めてリスクの大きな状況が出現してしまったのである。

 個々の企業は利潤追求を使命としているので、その「部分最適」を「全体最適」に向かわせるには、行政の「制度設計」により以外にはない。具体的に言えば、リスクを分散するために、地方分散配置に対して、税制上の優遇、有利な融資制度を実施するか、逆に首都圏のデータセンターに付加税を課して分散した方がはるかに利益が出るように「傾斜」することである。
 それが地方の情報産業の活性化を促すことになるのではないか。日本の情報産業の地方分散へのきっかけと期待したい。