個人情報保護への新しい流れ

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2013-05-07 14:59

 「個人情報保護」については日本社会においては、多少の混乱がある。最も大きな問題は、「個人情報」と「プライバシー」の混同である。「個人情報」は個人を識別できる情報のことで、それ自体は保護すべき情報かどうかは不確定である。「プライバシー」は個人として侵されたくない領域のことで、自分の疾病を他人に知られたくないとか、自分の個室にむやみに入り込まれないなどの権利はプライバシー権に属するし、また、個人情報の一部には、他人に知られたくない性質のものがあって、それは個人情報の保護というより、プライバシー保護の権利に相当する。国際的には「プライバシー保護権」が確立しているが、日本では、このことを「個人情報保護」と誤って理解してしまった。

 学校の緊急連絡網に氏名と電話番号が掲載されているのは、個人を識別できるので「個人情報」だが、秘匿すべき「プライバシー」に相当するかどうかは、ケースバイケースである。なんらかの事情によって氏名と電話番号を知られるのが、不都合な人にとっては「プライバシー」だが、通常、大多数の人にとっては不都合はなく、むしろ、便益の方が大きいので、特定の例外者は除外してでも緊急連絡網は作成すべきである。それが「個人情報保護」の理由で一時期、全国で作成されなくなって、文部科学省が「個人情報保護法」の対象にならないと、わざわざ通知したが、今なお、誤解したまま作成されないままの学校もあると言われる。
 同様に町内会名簿なども誤解を受けて作成されなくなった地域もある。趣味やスポーツのサークルでも、名簿作成に同様の誤解が生じた。

  そもそも「個人情報保護法」5000人以上の個人情報を半年以上保管する企業や組織に対して保護義務を課した法律で、町内会や学級の名簿などは対象外である。「個人情報保護法」とは別に、個人情報をどう取り扱うかは、それぞれのコミュニティーで合理的に決めれば良い話で、それを「個人情報保護法」で決まっている、と誤解したところに問題がある。
 「個人情報保護法」とは別に、守られなければならない「プライバシー」は厳然としてある。これを「プライバシー保護ガイドライン」として確立すれば良かったし、そのように表記したところも少なくないのだが、一方で、「個人情報保護ガイドライン」などとしたところも多かった。この辺に混乱の原因がある。

 JASPAが応援して設立した組織も、「日本個人情報保護管理協会(JAPiCO)」と「個人情報保護」を標榜しているが、ここでは、「個人情報」と「プライバシー」とは峻別できるように指導して、正しい「個人情報」の取り扱いをリードしてゆきたい。元々、「個人情報保護法」は情報処理技術が発達して、正しく個人情報を取り扱えば新しい経済価値を生み出し、社会を活性化する資産になると考えて、その濫用に歯止めをかけるために制定したものだ。それが逆に個人情報の活用を阻害するのは本末転倒である。

 先月、JAPiCOの創設者である石井一二JASPA顧問が同協会の理事長から会長に就任し、後任の理事長には、JASPA会長の筆者が就任した。JASPAの横尾良明事務局長と眞杉幸市監事がそれぞれJAPiCO副理事長に選任されて、JASPAが全面的に推進する体制を整えている。日本の情報社会の正しい発展に、正しい個人情報の取り扱いを広め ることは不可欠である。個人情報保護の新しい流れを創り出さなければならない。