データサイエンティストへの期待

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2013-06-04 07:52

 情報産業は依然として、急速に成長しているのを実感する。クラウドやSNSの登場、ビッグデータやオープンデータへの関心の高まりなど、目まぐるしく市場が変わり、広がってゆく。情報産業界に知識が乏しく、流れに追いつけない人たちは、「新しい言葉を次々に作り出して、あおっているだけ」「所詮は内容の乏しいただの流行語に終わる」などと、皮肉めいた批評をぶつけるが、実態をみれば、決して、言葉だけの空疎な言辞が飛び交っているわけではない。
 ここ1年、また、新たなキーワードとして注目を浴びているのが、「データサイエンティスト」という職種の登場である。
 コンピューターの演算処理速度や記憶容量、記録保管能力が飛躍的に上がって、膨大なデータの処理ができるようになると、これらのビッグデータを取り扱い、実際にビジネスに役立てる仕組みを作るコーディネーターが要求されるようになる。生産現場や物流プロセスの状況を把握するセンサー、位置情報を把握するデータ、SNSを流れる大量のメッセージなど、情報処理可能なデジタル情報は毎日、毎時、毎秒、大量に生成されている。それらのデータを収集する情報機器やソフトウェアの現状や今後の発展を見通す技術的知識がデータサイエンティストには必要である。
 さらに時々刻々発生する大量の情報を処理するサーバーの能力やソフトウェアの動向、種類も知っておかなければならない。
 もちろん、今。生成し、流通するデータだけでなく、企業がこれまで保管し、蓄積してきた生産・流通・経営管理情報や取引先との詳細な取引データ、販売情報、購買情報などのデータなど、各部門が蓄積してきたデータが大量にある。これらは、適切に統計処理し、編集・加工してゆけば、質の高い知見を得られる、豊かな情報資産である。
 こうしたデータを理解し、情報処理して、現実のビジネスに役立ててゆく。その能力をもつ情報技術者が期待されているのである。それがデータサイエンティストである。技術からビジネスまで分かる、というのは、いつの時代にも求められてきたスーパーテクニシャンであるが、ビッグデータ時代には、それがデータサイエンティストということになる。
 ビッグデータという宝の山を抱えた企業経営者にとって喉から手が出るほど欲しい人材だが、一方、技術者の側から見れば、高額の報酬が期待できる新しい職種として、にわかに注目を集めることになった。さて、こういう新しいニーズに、ソフトウェア企業がどこまで応じることができるか。あるいは個人技術者の働き場かもしれない。