JASPA22世紀フォーラム主催 バンコク視察レポート ~目覚しいアジアのソフト産業に触れたバンコク視察~

投稿者:jaspanet 投稿日時:火, 2013-10-01 18:21

期間 平成25年9月19日(木)~9月23日(月)
参加者:敬称略
  • ハイテクノロジー・ソフトウェア開発協同組合:青谷哲也、伊藤整一、瀬川、古川、天野、(5名)
  • 中央イメージ・テクノロジー研究開発協同組合:安達幸詔、平川学、郡千治、堀越正、土屋、山藤、奥様2名、(8名)
  • KT-NET運営委員会:林知之、原田次郎、鎌田佳宏、林牧人、松瀬、野口、杉田、(7名)
  • 宮城県ソフトウェア事業協同組合:太田貴之、小山守、小川正史、(3名)
  • 首都圏ソフトウェア協同組合:福原智、鷹羽和利、(2名)
  • 以上25名

バンコク視察の目的

(1)JASPA会員企業の経営者および若手実務者、経営幹部、次期後継者が参加し、交流することで次のJASPAの土壌を育む。
(2)目覚しいアジアのソフト産業に触れることで、現在の日本の中小ソフトウェア開発企業に危機感を持たせる。

訪問企業

(1)三井住友銀行 バンコク支店
(2)ジェトロバンコク事務所
(3)E & Y

視察内容

【9月19日(木)】

1.タイの経済情勢と日系企業の展開 三井住友銀行 バンコク支店 谷野創様
日本からの飛行機が、機材整備で大幅に遅れてしまったことにより、1時間遅れてのスタートとなってしまった。
時間が短くなってしまったため、特に、投資対象国としてのタイの魅力と気になる点を中心にお話しいただいた。


Ⅰ.タイ投資のメリット
(ⅰ)既に生産基地として各種産業が集積している。
  自動車、電機・電子を中心にサプライチェーンを形成している。
(ⅱ)インフラが整っている。
  電力供給に不安がない、道路が整備されている、工業団地が発達している。
(ⅲ)消費市場が拡大している。
  中進国化(一人当たりGDP約5000米ドル)、世界に名だたるグルメ民族である。
(ⅳ)親日的環境である。
  歴史問題が存在しない、日本食ブーム、「日本的なもの」への憧れがある。
  日系企業の長い歴史があり、日本人が暮らしやすい環境が整っている。
(ⅴ)政治・制度的枠組みが安定している。
  政変があっても政策は大きくぶれない、社会秩序が安定している。
  投資関連の制度が明確である。
(ⅵ)地勢的に優位な場所に位置する。
  インドシナ半島(大メコン圏)の中央に位置し、他のASEAN国への進出が容易である。

Ⅱ.タイ投資の気になる点
(ⅰ)労働者の最低賃金が上昇している。
  生産コストへの影響がでている。
(ⅱ)自然災害のリスクがある。
  2011年の洪水では、進出している日本企業も膨大な被害を被った。

以上、気になる点はあるものの、タイに対する総合評価が高まっており、海外投資対象国としては適切とのことであった。



【9月20日(金)】

2.タイへの投資状況、環境、ASEAN経済共同体 ジェトロバンコク事務所 林崇郎様、福田淳様
タイ進出に際して押えておくべき留意点及び2015年実現に向けて取り組んでいるASEAN経済共同体についてお話いただいた。
Ⅰ.タイ進出に際して押えておくべき留意点
(ⅰ)なぜ海外進出なのか(日本ではなぜダメなのか)なぜタイなのか(他の国ではどうか)
(ⅱ)タイで何をするのか(明確な事業目的はあるか)
(ⅲ)事業性はあるのか、事業規模はどの程度か
(ⅳ)進出形態・出資形態をどうするか(現地生産・販売会社・駐在員事務所?)

Ⅱ.2015年実現に向けて取り組んでいるASEAN経済共同体について
(ⅰ)ASEAN各国は、①単一の市場と生産基地、②競争力のある地域、③域内格差の縮小、④グローバルな経済への統合、を目指す。
(ⅱ)これにより、「物品、サービス、投資、熟練労働者の自由な移動と資本のより自由な移動」を実現する。


3.タイ国における会社設立について E & Y 山岡耕志郎様、山本隆司様
タイ国において、会社設立する具体的な方法についてお話いただいた。


Ⅰ.タイには、外国事業法という法律があり、以下に該当する法人に適用される。
(ⅰ)タイ国で登録していない法人
(ⅱ)タイ国で登録しているが、50%以上の資本を有している法人
(ⅲ)タイ国籍を保有していない自然人

Ⅱ.タイにおいて規制をうける事業活動
(ⅰ)タイ人にのみ従事が認められる事業(マスコミなど)
(ⅱ)国家安全保障、芸術、文化、伝統、民芸品、天然資源、環境に影響を与える事業
  (但し、許可が得られれば従事可能となる。)
(ⅲ)タイ国民が外国人と競争する準備が整っていない事業(サービス業など)
  (但し、承認が得られれば従事可能となる)

Ⅲ.申請手続きについて
(ⅰ)商号の予約
(ⅱ)会社設立に必要な書類の作成、申請
(ⅲ)会社設立登記の申請書を商務省登記所に提出
以上に約5~10営業日かかるが、簡単な事務で手続きができる。 

Ⅳ.BOI認証について
(ⅰ)BOIへの申請書提出
(ⅱ)BOIへ会社の事務内容等の説明
(ⅲ)申請者がBOI奨励を受託する書式を提出
上記(ⅰ)~(ⅲ)の判断結果通知までの期間として約4か月かかる。
(ⅳ)申請者がBOI認証発行のための書式を提出
(ⅴ)BOI発行
申請開始から事業開始まで、最短で6か月くらいかかる。



4.まとめ
タイへの投資は、以下理由により、他のアジア諸外国に進出する場合と比較して容易であると感じた。
(ⅰ) タイは、過去に一度も侵略を受けていない希少な国であり、政治的にも比較的安定している。
(ⅱ)諸外国の投資を柔軟に受ける体制があり、既に数多くの日本企業が進出している。
(ⅲ)タイには、親日的環境があり、中国や韓国のような歴史認識的な障害が少ない。
反面、リスクも少なくなく、慎重に検討し、タイで何をするのか、進出形態をどうするのかを明確にした上で、投資をすることが重要であると感じた。
(ⅰ)ここ数年、最低賃金の上昇により人件費が高くなっており、低コストでの労働者確保が困難になりつつある。
(ⅱ)熱帯モンスーン気候という自然環境の中、どうしても洪水等の水害リスクを念頭に入れなければならない。
(ⅲ)事業活動を行う際、申請から事業開始まで最短で6か月かかる、しかもサービス業においては、制約がある。
(ⅳ)タイに限った話ではないが、ある程度のタイ語は理解できる語学力がないと交渉の場に立てない。
今回の22世紀フォーラム主催のバンコク視察、最初から飛行機が遅れ、三井住友銀行の訪問に遅れてしまうというトラブルはあったものの、大きな事故もなく、無事終了した。
JASPA会員企業間の交流を含め、当初の目的は、概ね達成できたと考えられる。本企画は継続して行うことで、次のJASPAの土壌を強固にすることができるのではないかと感じた。