新春座談会

日時:平成20年12月4日(木)10:00~11:30
場所:帝国ホテル 本館4階「松の間」

≪出席者≫
八尋 俊英 経済産業省商務情報政策局情報処理振興課 課長
中島 洋 JASPA会長 首都圏ソフトウェア協同組合 理事長
石渡 辰夫 JASPA副会長 静岡県ソフトウェア事業協同組合 理事長
横尾 良明 JASPA専務理事・事務局長
真杉 幸市 JASPA監事 首都圏ソフトウェア協同組合 理事
田淵 信夫 JASPA会員 西日本コンピュータ技術者協同組合 理事長
岩舘 光雄 JASPA会員 青森県情報サービス協同組合 副理事長
小俣 芳晴 JASPA会員 電算ソフトウェア協同組合 専務理事
舟橋 千鶴子 JASPA会員 首都圏ソフトウェア協同組合 理事
岡積 正夫 JASPA会員 株式会社流通戦略総合研究所 代表取締役
地方自治体システム再構築 最適化計画 支援コンサルタント

横尾 JASPA会報の新春号を作成する時期となりました。例年恒例となっております情報処理振興課の課長を交えて、情勢、国の政策、われわれの望んでいることをお話させて頂きたいと思います。これも一つの情報発信の機会ということで、よろしくお願いいたします。

まず我々の報告ですが、昨日、台湾のCISAの業務提携を結びましたので、その報告を中島会長の方から簡単にさせて頂きます。

中島 CISAは台湾の情報サービス産業協会、日本のJISAにあたる団体です。JISAとも20年前位に提携をされたそうですが、今回JASPAとも提携を結ぶ事で活動の幅を広げたいと伺っています。

きっかけですが、先方より12月の初めに、日本とビジネスチャンスをつくろうという視察団が日本に来る予定がある事を伺いました。JASPAの会員企業にも台湾に進出している企業、関心を持っている企業もあったのでその時に情報交換の機会を持つ事としました。ところが先方からは両者情報交流だけではなく、もうちょっと期間を長く情報交換をできる機会をつくる「提携」という形にしたい。と提案を頂いたのです。

それで昨日、業務提携覚書調印式を実施しました。今後は台湾から来られる方々と情報交流、展覧会、展示会とか、相互に交流を図れるような関係を作る事が目的です。

中国と台湾は、既に経済的には完全に交流しています。昨日来た会社の多くも、自分たちが開発センターを上海、大連も含めて4~5カ所持っているそうです。品質は台湾が高い。でも、台湾はコストが高いので、台湾企業が受けたものは代替中国本土で製造しているそうです。
昨日来社していた台湾企業はCMMIがレベル5かレベル3くらいの会社でした。非常にレベルが高いので品質は自分たち、コストは中国と分けてやっているということでした。政治的にはともかく、経済的にはもう、中国と台湾は一緒になっているなという感を深くした次第です。

その後、懇親会も非常に和やかに話が進みました。展開についてはこれからですが、中国と台湾は経済がもう一体化しているというところを見ても、われわれは台湾を無視してはいけないなと考えています。さらに、日本と台湾以外の地域の共同市場開拓を希望していました。民間レベルでどんどん進めていけたらいいかなという感じを受けました。何か補足があれば。

横尾 そうですね。一番印象が深かったのは、まず北企業が全部CMMIレベル3以上なのですね。日本の企業でもほとんどないじゃないですか。中にはレベル5がありました。

中島 団長さんのところがそうですね。

横尾 台湾企業の方が言っていたのは、ブリッジSEに自分たちの企業を使ってくれと。そうすればどこにでも出すと。要するにブリッジSEというのは、レベルが高くないと困るのですよね。いい加減なブリッジSEが多いもんだから、日本の企業がオフショアを組んで海外へ出したけれど、大体おかしくなっている。だから、この辺は、われわれ中小でも組める部分があるのかなという気はすごくしました。そこがすごく印象的だったのです。岡積さんどうですかね、そのときの感想は。

岡積 いらした企業はかなり規模が大きいですね。規模の大きさはあるのだけれど、大変向こうの姿勢は低姿勢というか、日本に入ってきてもっと協力的にいろいろなことをコラボレーションしたいというのが強かったような気がしています。既に東京にいろいろな支社とか支店とかお出しになっていらっしゃるし。組めるチャンスはいろいろあるかなというような感じはいたしました。

八尋 象徴的だなと思いましたのは、昨日中国大連市のソフトウエアパーク日本分所開設式なるものがありました。新宿住友ビルの22階を全部借り切って全部で600坪くらいです。その開設式との事で政治家を招いたり、商務情報政策局の局長も出席していました。総勢400人位の方が多分いらっしゃいました。ビックリしたのは、その借り切ったフロアに、少なくとも今中国企業側の例えばニューソフトとか頑張っているアウトソース会社。約40社が席をちゃんと取っていたのです。

これをやりますとお聞きしたのが、6月の大連のソフトウエアパークの交易会の時です。その時にいずれ作りたいと。そのいずれが、わずかこの期間です。スピード感がすごいですね。

この凄さをどう使ったらいいのかなという感じですね、日本にとって。

で、一つ、われわれは何もしていないわけではなくて、例えばPマークというのがあります。プライバシーマーク。あれなどはJIPDECにも頑張ってもらって、大連市に輸出をしたのがちょうど2年ちょっと前ぐらいです。無事に向こうで育てていただいて、中身全く99.9%同じなのですけど、PIPAという名前になりました。そことの相互認証を今年6月にやりました。中国がお育てになったものと、日本のPマークの、めでたく結婚という事で、相互に承認し合う。それが今、遼寧省全体に今年度中に広がることまでは決まっています。商務部にわれわれが言質を取っているのは、中国全土にちゃんとこの3年ぐらいに広めてくださいと。

中国側が意外にも日本流を使いたがっているのは、クールジャパンのおかげもあって、すごく親近感があるらしいのです。日本の家電ネットワークというのですか。要するにデジタルテレビのレコメンデーションとか、そういう世界にもなってきていますから。
だから一応、スタンダーゼーションみたいなところは一緒にやっていこうという気は中国側にもあるものですから、いずれそのほかのいろいろなセキュリティの方式や、仕事の手順なども、せっかくだから日本流を輸出して、あたかも中国と一緒に作ったように見せて、中国の成長する果実の恩恵を受けられると、本当はいいんだろうなと思います。今のところは全然、恩恵を受けているのではなくて、向こう側にどんどん吸い取られている感じがしますね。はい。

日中の状況をうまく利用して何か商売をするというのは日本人側にもできるはずです。中国は今、自由化経済を目指しているので日本企業だとやりづらいという状況は全然ないですよね。税制の優遇でも圧倒的に開かれていますし。でも何かやり方が日本の方がちょっと真面目すぎて、もっと成長カーブを描くようなものになれていないところが非常にひっかかるということではないでしょうかということです。

横尾 いろいろな問題がいっぱいありそうだなという事は、お話で分かりましたけど…夢と問題が、両方山積みしていますね。ここからは中島会長、進行をお願いします。

中島 昨年、同じような時期に、同じように八尋課長にお話を伺いました。ちょうど、既にサブプライムの問題は過ぎていたのではないかという楽観論があたとき八尋課長が「サブプライムは意外に根が深い、そんな簡単なものではなさそうだと。」ご指摘をされて、われわれもそれで報道の見方が変わったようなところがあります。かなり慎重に状況を見ていたら、課長のおっしゃるように、非常に、さらに深刻な状況になってきている。それは最初のうちは、ソフトウエア産業とは遠いところで影響が出て、それがだんだんわれわれに近づいてきた。われわれの世界でも開発の案件がきわめて細ってきて、技術者が余るというような状況になってきています。昨年の今頃は、いかに人不足を解消するか、そういうようなテーマだったのですけれども、今年はいかに人余りを解消するかというように、この1年間で、様変わりの状況になってきてしまいました。課長は今後の、世界経済、日本経済の見通しはどんなふうに予想されておられますか。あるいは、省としてどんなような見通しを持って動いておられるか。その付近からまず最初にお話願います。出来ましたらJASPA会報新年号掲載ですので、あまり暗くならないお話だといいのですけれど…。

八尋 難しいですね。皆さん何となくうすうす感じてのとおりです。昨年の時も何が起きそうだったかというのが少し見えてはいたのですが、ニューヨークや欧州にいる仲間から何となく聞いていると、これはただ事ではないぞみたいなことでした。もうご存知のとおりモーゲージローンなどにおいても、簡単に言うとあり得ないようなリスクのファイナンスが起こっていて、そんなに長くは続かないのではないかというようなことや、ドバイからロシアまでを含めての資金の流し方が以上だというのは、みんなが言っていました。どこかで破裂するのだろうとみんな見ていました。ですからそれが、本当に起きてしまったというのは残念なのですが、逆にあのままいっていたら、もっとすごいことが起きる、というところより前に止まったのではないかというような感触を持ってはいます。

日本の中がよく分からないのは、今のところ対岸の火事だと思っている人がまだ多くいらっしゃる。今後、一つの引き金になりそうなのが、今まで伸びていたものです。あまり具体的には分かっていないのですけれど、情報通信、ブロードバンド系などの産業の伸びが着実止まって来ているようです。ご存知の状況ですがノキアが撤退するというあり得ないようなことが本当に起きています。グローバルに動いているメーカーさんから見ても日本は魅力がないのですね。何かさらなる新しいサービスなどがそこでできるのであれば残るのでしょうけれど…。それが現状なのです。

日本の、例えば携帯電話メーカーが多くの優秀な人材を携帯開発に選って、全部日本市場の中に特化しているというのは、海外から見れば異常です。

例えば、アメリカで僕がすごいなと思ったのは、オバマの選挙の日に、連邦通信委員会がすごい決定をしています。いわゆるフリースペース、デジタルで空き枠をどう使うのかという、もう4~5年のロビーイングの結果です。簡単にマンガチックに言えばマイクロソフト、グーグル側みたいな自由に使わせる側と、放送局側みたいな規制を望む人たちとの中で、連邦通信委員の評決は全員賛成でマイクロソフト、グーグル側の、自由に利用する事を認めています。

これが動き出すと、今のような公式な周波数帯の中でいろいろな携帯電話が動くのではなく、さまざまなモバイル機器がもう自由に取り扱えるようになります。しかもそれは、何社かの通信キャリアが決めている規格ではなくて、まさにグーグルからアマゾンまで、そういう人たちが自由にできてしまう。まさに情報を扱っている側に近い方に、徐々に主権が移ってくるのです。一方日本は、相変わらずインフラ系の人たちがすべてを決めているというところから何も変わっていない。その辺が多分メーカー系で何か新しいサービスや機器を生み出そうという人から見て何にも魅力がない象徴なのだと思うんですよ。

中期的に見て政策の差が、その後に大きな影響を及ぼしてくるだろうなと。今一番怖い。

経済相が今できるのはこの間の緊急保証制度において、ソフトウエア、情報サービス全て、指定産業枠に入れること。ですから信用保証協会に言っていただければ、ちょっと手続きに時間がかかるものの、100%保証が取れると思います。

ただ、問題は融合する側がリスクアセットを積まなければいけないのです。既にメインバンクになっているところの大企業で、借り入れ申し込みをはるかに超える額が積んである以上、そこの方がリスクアセットは低いのです。そこから今度、中小企業側に回るかというと、二つの理由で彼らは断ると思います。普通やはりメインバンクのところから支えようというのは人情で、やはり長く借りていたところ以外から急に申しこまれても、よく分からないし、本当にキャッシュインのずれだと言われても、その事業について深く知らない。経験値もないので、初めてというのは貸しにくい。もう一つは、製造業全般の割と堅いものに比べて、情報やサービス系の企業は、何となくよく分からないという時代がまだ日本は続いているためです。

昨日も実は、サポートインダストリーとして指定されている組み込みソフトウエアの中で、いわゆる自動車の組み込みから、いろいろな組み込みのところで、国の計画というのを今、指針を変えています。2年半前より少し増やして、今後告示をするのです。そこにあたる限りは、商工中金等々の特別金利が使える。ここを今、拡大をしようとしています。しかも中小金融公庫、日本政策金融公庫等々は別の枠組みなので、いざという時、対応策をこうじる際の避難場所にはなるのではないかなと考えています。

中島 今のお話ですけれど、一般の都銀や地銀が、信用保証枠が幾らあっても貸せないという事情があるというわけですね。それを突破するために、中小のソフト会社の為にIT業界に対する理解を深めるための施策を講じようとしているとおっしゃったと思うのですけど、具体的にはどんなことを講じようとしておられるのですか。

八尋 この間やらせていただいた地域イノベーションパートナーシップなどは、一つの例ですね。今までの、それぞれのSlerさんが地域地域にあって、どうしても特色が違いますから、それを一緒になってやろうというときに、では会社を合併しないと信用力が上がらないのかというとそうではなくて、一つ一つのSlerさんが3つ4つ一緒になって、例えばETSSの組み込み系ならば教育を受けようだとか、もしくは一緒になって連携して何か信用を受けようだとかというときに、その信用の連携の部分について、委託から補助金が付きやすくなるだとか。もしくは、政府系関係の金融機関で相談がしやすい。要するに、1社1社の信用力が仮に低くても、その連携については高く評価できるのではないかという枠組みを作って、審査が楽に進むようにするとか、というのは地域イノベーションパートナーシップところで、まず一つやろうとしているところです。

横尾 昔、協同組合を使ってやったのと同じような手法ですよね。

われわれは協同組合連合会ですから、提案して頂ける制度を利用し易い環境がある。そういう意味ではこれからよくご相談しながら活用方法を研究して普及させていけたらいいですね。特に地方の会員組合は東京よりも実行しやすいと思いますし。

八尋 それから、既にある制度ですが、いろいろな特別の利子の利率を下げるというものです。特利の3というのは一番低い。この部分については、税収不足でもう一律やめようと言われているのです。それはあり得ないだろうと、ITとかも社会基盤だからと、言い返しています。何とかある部分は守り抜こうとしています。ですから、商工中金みたいに、一番使っていただいているようなところは、その特利の3というのを今守ろうとしている。これは増えるわけではないので申し訳ないのですけれども、もともと潰されそうとしているところを何とか守り抜くというところ、今もやっています。

それから、今、主要都銀の方が多分大変です。それはどことは言いませんが、製造業等々の大手の運転資金を集めたというのと、もっと言いますと、流通業を含めて不動産などで、苦しい産業がいくつもあるのです。そこを支えるのでメインバンクが大変だと思われます。ただ地方銀行で比較的健全にやってこられていたところは、まだ空き枠があるはずです。

石渡 静岡の場合というか、私の場合は、地元の信用金庫ともう34年間付き合っている。この政府の特別保証枠が出た時点で、担当者がすぐに飛んできましたよ。使いましょうと。使えるものはもうどんどん使って。他のところでゆとり持たせておけばいいからということで。その時点では大丈夫でしたが、今、その融資の審査には沢山の申請があってものすごく込んでいますよ。

船橋 そうなのです。私も聞きましたら、1日に45社を審査するということになっているのですけれども、朝7時に窓口へ順番を取りに行かなくちゃいけない。ずっとそれが予約制になっていまして、今千代田区では、1月の半ばぐらいまでいっぱいなのだそうです。担当者からは融資を急がない人はその時期の審査でどうですかという話を伺いました。このような状況ですので、年末にお金を借りる、至急、緊急に欲しいというのはなかなか難しいなというのを感じました。

石渡 ちょっと話を変えてもいいですか。というのはこの間からテレビでいろいろ報道で特集してやっていた僕もはっきり覚えていないけれど、クラウド・コンピューティングですか。

2万円台のパソコンが出てきていますよね。先ほどの話と似てくるのですが、グーグルとかヤフーとか、自由に使えるエリアを増やすという、その辺と絡んでくるのと思うのですが、そうなるとハードウエアメーカーというのは大変になるのではないかと僕は思っているのです。その辺については、どういうふうにご覧になっているのですか。

八尋 ちょっと資料※を配ります。
※(産業構造審議会情報経済分科会(第23回)配布資料) [URL]http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g81125bj.html

ちょうど、今まさにおっしゃったようなあたりを、産構審でも問題になっていまして、11月25日に、産構審の情報経済分科会を急遽開きました。その理由はやはり、この3月ぐらいまでが相当やばそうなので、基本問題小委員会というのを急遽設置することを決めるために集まったのですけれども、そのときの資料です。今やっているグローバル、オープン、グリーンみたいなことにどう戦っていくのかというようなことは、2、3ページ等にあります。4ページも新経済成長戦略というのをだからやっているのですみたいな動きと絡めた解説で、6、7ページは先ほどの話です。景気の見通しについてずっと10、11ページへつながっています。12、13ページあたりもそうです。14ページあたりにも、産業構造審議会の中でも、要するにまだ数字に出てきていない不況感について各地域の地方局から上がってきているような話が14ページぐらいに書かれています。15ページは緊急保証制の話です。ここは、先ほど何となく概観で終わっているところだと思います。

クラウドのお話は、その次の、ITをめぐる現状課題その1の6ページくらいからそういう世界の話になります。一つはインターネットがまだまだすごいことになる。要するにつながるのが全世界的に、いわゆるBRICs含めてインターネット人口が増えるので、このインターネット人口がどかんと増えていくところで商売をできる、例えばアマゾンみたいな会社は、日本にないんじゃ。ないですか。で、どう見てもこの活力を使って新たな広告をやったり、もしくはそれと結び付けて今おっしゃったのはハードがソフトを無料にするというサービスが世界を席巻するのです。

グーグルやマイクロソフトみたいな、ご存じのとおり彼らの時価総額というのは、日本の大手メーカー3社、5社足してやっとそうなるというぐらいのもので、今後、株式市況がどうなろうがやはりそこは変わらないと思うので、そこをどうしていきましょうかという話が一つ。それから、クラウド・コンピューティングについては、おっしゃるとおりで、要は一つ一つの端末のところにあまり能力を持たせる必要はないということでは、昔からよく言われています。

8ページの、このイノベーションが進行してきますよということの中で、低コストでメンテナンスが要らない、要するに少なくとも操作する側の端末サービスのところでメンテが要らなくなりますということで、さらにいろいろなレベルの人が使えるようになってしまいますよということ。ただ、この8ページのl-5のところですけど、省エネ省資源化という意味では悪くないのです。省エネ省資源化ということでは少なくとも世界的には潮流として出てきます。主要プレイヤーが、4番目にあるように限られてしまっていることをどう考えるのか。

l-6のところに、今後の検討課題というところが書いてあります。日本でもこのビジネスが活発に発展する環境を整備しないと、ノキアの撤退が象徴的ですけれど、日本が世界から外れてしまうのではないか。一つは、このボリュームに乗っていいのかいけないのかという部分が確かにある。一つは、われわれも今SaaSの中小企業向けのをやっていますけれども、あれはいよいよ実験というかはじめようとしているのですけれど、機密でなくても機微なデータを人に預ける。しかも、その人が、昔ですとあのデータセンターの中と言えるのですけど、そうじゃないということです。

預け先が分からないのです。グーグルのセンターがアメリカにあるとは限らない、どこにあるのですかという世界です。国境を越えて、しかも処理をしますから、ある所に置いているだけではなくて、恐らくそれをまたいろいろな所で、国境を越えて処理して結果を戻してきているわけです。その時のデータのセキュリティやプライバシーの問題はどう処理するのか。それから、そういう人たちが出てくると、少なくとも世界は5つのコンピュータしかないと言われているように、競争が、明らかにプラットフォームという言い方をすれば独占の懸念があって、そこをどう考えるのか。それから、そことの契約をどう処理していくのか。しかもそのシステムと日本側と違う場合、相互運用をどうするか。そういうのを対処できる人材。

それから、そもそもグリーン・クラウド、これはグリーンITにひっかけようとしているのです。グリーンIT技術は比較的日本にあるので、クラウドをそのまま日本で追いかけても意味がないのであれば、グリーン・クラウド・コンピューティングみたいな新しい概念を出して、日本の要素技術の開発を活発化させたらいいのではないかということを言っている人もいます。いずれにしても、単に書き出しているだけなのですが、このような問題がある。少なくとも今EUなどでもこういう議論が続いているので、日本とEUできちんと話し合いをしようとか、そういう話が今出ている。

10ページに、経産省のクラウド・コンピューティング関連施策と書いてありますが、クラウド・コンピューティングの一種であるSaaSに関する利用環境の整備という意味であれば、これはSaaSの財務会計に限っていますけれど、SLAは一応作っている。グリーン・クラウド・コンピューティングに絡んでいくと、一応来年度もグリーンITは続くのですが、そのグリーンITに、今までのストレージ、サーバーをどうしたとかという程度ではなくて、もう少し全体のシステム統合管理みたいな技術開発をしようということで、予算を倍増して請求中です。国際協調に関しては、アジアのASEAN中心のアジア知識経済イニシアティブとして、データセンターの国際的省エネ基準の策定を推進が今行われようとしているところで、先ほどの前のページの課題にほとんど答えていないという感じですね。

石渡 だから非常に怖い社会になる可能性があるんですね。

八尋 怖いのですよ。そこが今、ちょっと困っているのが12ページです。怖いから、自由じゃ駄目だよという論調が今、出てきているのです。

ご存じのように有害サイトの問題もあったり、この訳が分からないSaaSが怖いというようなことでもある。それならすごい規制を入れてましょうという議論が一方であるのです。構造通信融合法案を作って、プラットフォームが力を持てるように。プラットフォームといわれるから何か新しい人がじゃあ、というと実はそうではなくて、NTTとNTTドコモということなのです。周波数の方でいえばドコモだし、有線系でいえばNTTですよ。彼らしか、プライバシー情報等々含めてセンターネットワークから上がってきた情報をどこまで人に開示し、開示しないか。NGNの位置情報みたいなものを含めて、誰がコントロールするかを決められるかとすればプラットフォーマーとしたら彼らしかいない。

だから、コントロールを行うプラットフォーマーにはもっと厳しくしてもらって、従来の通信自由化というのをやってきましたけれど、少なくても国が求めるプライバシー規定や、情報の海外への持ち出しに関する規定などを作りプラットフォーム規制しよう、通信に規制をきっちりかけましょうというのが、今の一つの流れですね。

ただ、これに関しては私は反対です。反対しているのは、例えば楽天などの日本で伸びてきたいろいろな産業は、通信技術者から解放されて、割と自由にいろいろなサービスができるようになって伸びてきている。規制をしないと怖いというのはおっしゃるとおりなのですが、そうかと言ってものすごいがちがちな法律を作ったら、本当に日本はデジタル鎖国になってしまうのではないかというところが一番気になっています。鎖国するのでもせめて日中で一緒にしておかないと無理だと思います。『怖い』から規制しようというのは、割と結論として導きやすいのです。

中島 政治のやられることは、自由化か規制かどちらかだから。もう自由化はやっちゃったから、今度は規制をという、単純なマインドはありますよね。今日の大阪府知事の橋下発言にしても、もう大阪府下の小学生には携帯を持たすなということを、教育委員会で指導しろという発言ですけどね。

八尋 強制してしまえば公立の小学校はそうなってしまいますよね。一方で、今週パナソニックさんたちが、総務省でやっていた実験なのですが、子どもの見守りサービスというのをやっているのです。いわゆるパッシブではないアクティブなタグをいろいろなところに置いて、子どもがきちんと通えているか。変な大人と一緒じゃないかとかをセンサリングするサービスをやっているのです。携帯じゃないにせよ何かしらのデジタル機器を町中子どもが持たないとできないのです。仮に橋下知事の、携帯電話というところだけで言えば良かれと思った政策が、他のイノベーションを止めるかもしれないのです。

だから安易に規制できないのです。モバイルについては、今、日本は携帯電話を作るというところに10社もみんないるという産業構造が悪いのです。そこで何か、子供見守りなのか老人介護なのか、いろいろなもっといいサービスができそうなのです。要素技術は悪くないのです。電子タグの技術などは国際化標準を取ったのは日本が世界最初です。でも一方で橋下知事みたいな政策が出てくると、絶対それは大阪ではブロックされてしまうことになりますね。デジタルは怖い、携帯電話が怖いからタグも怖いというと、みんな規制されてしまって、何もしない、出来ない国になってしまう。それでいいのかなというところが今あるのです。

ですから、どこまでならプライバシー情報が漏れてもいいとか、デジタル機器を持っていてもこういうときには止められるとか、そういうガイドラインなどがきちんとしないと、動けなくなるだろうなと。しかも、日本だけで決めるのではなくて、OECD全般でとか、日本の意見をなるべく言って、あるところに納めて、それに乗れば一応安心という形に持っていくのが一番いいのではないかというふうに、簡単に言うと経産省では考えています。ただそれは、産業界的にはイノベーション側に走っている会社はみな支持してくれますけれども、どちらかというと今の理論は分かりづらい。橋下知事派の方が多分分かりやすい。

石渡 先日のNHKでやっていたのですけれど。看護師さんの行動記録が全部把握できるというシステムを作ったのですよね。もう実験をやっているんですよ。看護師さんがいろいろな、今言ったタグというのかな、いろいろなものを付けて、やると今、薬を調合しているとか、注射を打っているとか、どこからどこへ移動したとか。それを全部把握できるという、そのことによって効率化が図れるというシステムの話です。でもそれが、本当にいいのか悪いのかというと、トイレへ行くところまで分かってしまうわけですよ。矛盾してますよね。

横尾 私はこの頃思っているのだけれど、日本は法律の設備がよくいきすぎちゃっているね。もっと言うと、法律の概念そのものをもう変えなきゃいけない時期だと思う。法律というのは規制するものが法律だという頭なのですよね。こうやらなければいけない、こうでなければならない。そうじゃなくて、こうやってもいいよという考え方。ここまではこの範囲だよという法律の体系を作っていかなければいけない時期なのだと。今の話でも、これをやってはいけない、あれをやってはいけないではなくて、ここからここまでが範囲なのだというものを法律の中で作っていく。新しい時代に入っているのではないかなと。そういうふうに思わないと全部がちがちになるだけですから。

八尋 その典型的なのが、アメリカのJ ISAに相当するところが去年出されたところで、フェアユース産業振興論みたいなレポートが出ています。ウェブページにあります。そのフェアユース産業というのはグーグルからそれを取り巻いている人たち全部で今、アメリカの3分のlの成長を支えているという論議なのです。フェアユースはご存じのとおり、 4原則とか細かい話と、グーグルのストリートビューみたいのをやる、それは止めない。法律には書いていない。ただ、それで侵害を受けた人は、オプトアウトしたい、私は嫌だと言えて、 言ったらそれに反応しなければいけないということになっています。

ただ、その辺から議論がややこしいのは、もう今オーストラリアからヨーロッパまで、グーグルが要するに私有地にまで入り込んでストリートビュー撮っているだとか。止めてと言ってすぐ止まるかというと、全然止まらないわけですよ。だから、その辺は想定しておいて、こういうことはやめなさいぐらいは書いておいた方がいいのではないかというのは、どちらかというと欧州みたいな世界の話になる。明らかに違うのです。

競争は多分起きるでしょう。昨日も韓国の8割を押さえている検索エンジンの人が今日本に進出しようとしている。グーグルのやり方ではない、同じようなやり方なのですけれども、もうちょっとみんなとコンセンサス揃えるものができるのではないかなというところが出てくる。そうすると、グーグルは嫌だという人は乗り換えるかもしれないということなのです。でも競争のされ方がグーグルと進出企業を比べたら、知名度も資本力も全く違うし、入れ替わるまでにすごい時間がかかりそうだし、そもそも競争が成り立つのかも疑問です。

それから、先ほどの、オプトアウトしていっているかどうかを、国なり、NP0なりどこかがグーグルに対して指導できるのかというと、とてもできないぐらい彼らの方が巨大だということです。 何か違反があったとしても、そのデジタル上であれが出ていたじゃないかというのを、 証拠写真に撮れないですよね。要するに、グーグルが、言われたときには消してしまえばいいので。 それなら国でそういうサーバーを用意するのですかというと、 そんな笑つちやうことできない。 だから今おっしゃった、ある範囲でと、そのある範囲だということを裁定する能力が、 行政府にないし、裁判でも無理。よっぽどすごい専門家に支えられたADRみたいな世界にいくしかないのかなとは思っています。少なくとも今年動いたのは、SOFTICというのがありますね。ソフトウエア情報センター、少なくともソフトウエアの契約にもめるトラブリングのADRとして法務省に認めさせて、この業界にはそういうのがなかったので、今、法的効果のあるA D Rは一つできたのです。今みたいなことまでをSOFTICがやろうと思ったら、多分サーパーがいりますね。サーバー監視部隊みたいなものがあって、受け付けて、それがほぼ妥当かなみたいな。広告業界だと、こんなの見て私は不快に思つたとか、自分のこんな間違いがあったとかありますよね。 テレビですからどこかに行けば録画されている。そのレベルと違いすぎるので、今のような本当に範囲でいいのかというところなんですけれど。

横尾 私が言っているのはもっと大きい話なのです。IT基本法を作るときに、そういう手法を用いながら、新しい基本法を作っていく。lT業界はある意味で言うと基盤を作っているのだから、これは絶対大事だよねというときに、法律もないですよね。今まで出てきた、例えば中国に開発業務を委託した場合の契約や情報管理、それは日本の法律に合致したものならいいですよという話はある。今それも何もないものだから、先ほど話が出ていた郵政公社の開発に関する場合などは、貯蓄データなどの情報が国外に流出してしまう。本来はたとえ賃金が高くても国内でやるべきものですよ。何でも安いところにものを出すことが、日本の景気を支えることではないわけです。

安いところに出せば企業はもうかる。 企業がもうかったものが全部ちゃんと分配されればいい。でも、今全く違う構造になっている。もっと言うと、高い値段で使ってもらった方がいいんですよ。現状は、もうデフレなんですから。全部踏まえて考えると、法律も必要だろうし、これはもうずっと思っているんだけれど。 何かの切り口を持って、それから発展させて考えないと、あまりにも話が大きすぎる。いろいろな切り口がありすぎて、絶対まとまらないですよね。問題がありますよということは分かる。解決策はといったときに、いろいろな切り口がありすぎて、解決策が見つからない。いや実は、この道で行きましょうという、何かl本通さないと、そこからものを派生させて考えないと無理でしょうというのが、この書類を見ての、私が感じることなのです。

八尋 とにかくやってみないとしょうがないので、ご意見は是非ぶつけてください。例えば基本問題小委員会は人数を絞って、慶応の國領先生が座長になりました。だから、JASPAとしてこう考えるとか、もし言ってくださるのであれば、國領先生とセットしますから、直接ぶつけていただけたらと思います。

横尾 是非よろしくお願いしたいと思います。

岡積 違う角度からちょっといいですか。

どちらかというと今までは情報施策でも、売る側的な表現と技術的な表現で言っているのだけれど、私は客の立場、買う側からずっと見てきましたので、その観点からいくと、客が一体どこにいるのか、どういう業種に客がいるのかという観点から見ていかないといけないのかなという気がしています。

去年、地方自治体の最適化のお話をしましたが、ちょうどl年たってみて、最適化はどのぐらい進んだかというと、予定の半分も多分進んでいないというのが現状です。

では地方自治体が出すIT予算というのはどのぐらいあるのでしょうか。これは、きっちり捉えてはいませんけれども、すごい額です。

私たちは最適化のコンサルをしていると昨年申しましたけれども、今年少し幅が広がりまして、来期ITを調達する事前評価もやっています。つまり、例えば関東でも某750万人の県のすべての調達する案件について、われわれが事前評価をします。それはもちろんコストを下げるということもあるのですが、それ自体が妥当性があるかというチェックを現在二つの都市でやっています。それを見ていくと、仕事は山のようにあるのです。ただ、仕事の選び方、 取り方が非常に古いスタイルで、こういうのはこれだけ切り詰めて、このシステムは入れ替えなければいけないとか。入れ替える必要がないのに、抜本的に見ないで入れ替えなければいけないというような手法で、来期予算を組んでいるのが現状です。多分、全国の自治体はどこもそうですよね。この10ページにちょうど出ている雇用状態を見ても、最悪のところの6割は私が見ている都市がこの中にあります。でもそこでも多額な金額のIT予算が出てきているのです。

その現実を見ながら、特に今自治体に申し上げていることの中で、実は一 番大きな問題なのは、自治体そのものが中小に仕事を出していないのことなのです。自治体がIT系の仕事を出していない。つまり、今回の本質的な考えでは、中小のIT事業者にやはり仕事の機会を与えていかなければいけないというのがあります。例えば今日参加されている方でも、東京的中小のl T産業的な見方と、地方における中小のIT、小は入らないかもしれないけれど、中小のIT産業が、本当に自治体の仕事を取れているかどうかというところです。少なくとも僕が見ている限り、出していない。見積りを取っているのは大手ベンダーからしか取っていません。

つまり、片側でIT産業を地場に育成するのだとか、補正を付けて東京から来てくれると言いながら、東京から来る連中も、補正が切れると逃げて帰つちやうのです。これが実態で、そこが今度は空洞化してしまって、せっかく建物を建ててあげたのに駄目だということで、更に疲弊しているというのが現状なのです。その中の根本的な原因はもちろん、どちらが先かは分からないけれど、地方にIT技術がないからみんな東京に仕事しに出てきてしまう。次はそういう仕事が受けられないではないかと自治体側が出さない。この繰り返しによって、地方にIT産業が構造的にできない事実が起こっていると思うのです。

先ほど言われたように、片側では新電子自治体推進動向というのは、総務省などが打ち上げて、2010年までに何とか一。絶対にできないです。拠点がないんだもの。先ほどクラウド・ コンピュータとかSaaSの話があったのですけど、 今僕らが進めているのは、地方に従来とは違う新しいデータセンターというか、アウトソーシングセンターを作りましょうと。アウトソーシングサービスそのものが本質的に変わってきていて、 その技術が今年だいぶ揃ってきたじゃないかという話なのです。それは、AS Pの延長上から来たSaaSもそうだし、クラウドもそう。そういうふうに考えていくと、地方の可能性はたくさん出てきます。当然、国はいろいろな助成を付けないでも、地方自治体そのものが地方を通して、足りない技術は大手ベンダーから育成をさせる。こういう人たちを使って、新たな事業展開をしなさいと。仕樣書に書いたらいいだけなのだから。今後の発注は、地場を使うことだという文言を入れるだけで変わると思うのです。つまり先ほどおっしゃったコラボレーション型のやつも、要するに小さいところだけ集まっても技術のノウハウもないし、とてもあれはできませんと言ってしまうのです。大手が入ってそれをまとめるという方式をやると、大幅に変わるんです。

実はこの方式でやっているのは、この中の真黒なところの北見市はそうしました。それから、大分県の中津市もそうしました。中津市では来年、旧労働省系のコンピュータカレッジの建物を市が買い取ります。そこに、市のシステムを全部移して、技術は大手から持ってこさせるけれども、運用を、全部地場の学校の卒業生たちにやらせる仕組みをこれから3年間で作る。そうすると事業ができますよね。そんな形と新しい技術の組み合わせを作っていくことが一つのポイントかと思うんですよね。

先ほどおっしゃった中で、多分統合というのは非常に大きな理論です。地方自治体は、結局合併というのは組織統合です。ITの統合はアプリケーション続合とデータベース統合と、 運用続合と、機器統合ですね。機器統合が例えば仮想化だったりするだけの話です。この統合概念というのは、それぞれ最新技術を使ってやっていくことによってコストを下げられるのです。つまりそれを供給する製造メーカーも、これは売れるのです。それで、コストが下がる行政サービスの仕組みが作れるのです。だから、それを今言ったようなものを組み立てて、組み合わせて、新たなアウトソーシングサービス産業として構築し直すことがポイントだろうと思うのです。つまり、従来のものを使おうとか言うから失敗をするので、新たな考えでいいのですよ。民間に作らせればいいじゃないですか。北見なども、前に北見信用金庫というのがあって、それが市の隣にあったから、その建物を借りたのです。そうしたら安くできた。中だけ直せばいい。真横だから全部移しました。そこでデリバリー から何から全部やる。

そうすると、従来運用というのは上流工程とか下流工程の中で、常に下流工程としてあまり見られていなかったけれど、運用統合というのは今一番技術的に重要な要素やノウハウが必要なのです。そうすると、運用そのものは非常に技術的要素として高まることと、地方の人間を使って育成することによって、人材が構築できるという背景があるのです。客の側から見てそういうものができるような仕組みをうまく作っていけるように、地方自治体も仕事が出せていくといいなと思います。地方自治体がそれを出していくための整理をするのが僕らの仕事だからそう思いますけれど。それはもちろん、地方自治体もあまり感じていない。だから、僕らが行ってがんがん言うから少しそういう形ができてきた。 そういう体系をすることによって、産業構造は変わるし、先ほど申し上げたように中小というのも地方中小と東京中小は違います。東京中くらいや静岡中くらいは結構大企業かもしれないですよ。 地方中小は本当に疲弊しています。

石渡 今、道州制とかいろいろ言われているじゃないですか。いろいろなものを統合していくという考え方でいくのであるならば、今の岡積さんの話を、クラウドとかSaaSとかに置き換えていくと、もう道州制をやったときには、そこに行政用のコンピュータシステムは、l力所で全部管理する。あとは全部、そこをクラウドと見立てて動かす、一つのシステム統合というか、そういうことも考えていく。地方の各拠点とかの運用は地方の小さな中小のSIヤーでも何でもいいのですけれども、そういうところに任せれば、意外と仕事が出てくるのではないかなと。

岡積 そのとおりなんです。だから、クラウドは少し大きな提携をすると、全くおっしゃったとおりだと思うのですよ。基本的に、共通基盤という概念は、共通基盤というパッケージだから。置き換えればいろいろな組み立てができるのです。各自治体ごと個別に、うちはこれがいるんだというのは、それはもうその中にぶち込めばいいのです。それと連携できるようにする。その連携技術とか何かを大手からちゃんと育成をしてもらって皆さんの会社が受け持つ。その指示は、地方自治体が仕様書に書けばいいだけですから。その方が、コストが下がっていい仕事が出来ますよ。

石渡 そうですよね。昔も言ったことあるんだけど、土木建設業界というのは全部JVを組ませて、ゼネコンが取って下に全部地元を付ける、その地元が今みんな伸びているわけですよね。日本は、われわれのこの業界においては、それはなかったので、古い手法だと前に言われたことがあるけれども、もう一度原点に戻って、地方のIT業界を育てるためには、そういう発想もしないと。せっかく道州制やるのだったら、何がメリットなんだということを考えたら、せっかくこういうクラウドとかいう話が出てきているのだから、 もう、その道なら道、もう本当に広く言うなら国がやったっていいわけですよ。国家が国家でもって、大きいクラウドを持ってやったっていいわけじゃないですか。

八尋 少なくとも韓国は今l力所です。前、去年ソウルにお伺いしたときに、電子政府を見せていただきましたけど、それぞれの区の中で今、どんなところの戸籍のでも全部ケーブルテレビからデータが行きますよね。あれはサーバーはl力所です。l力所というか国でやっています。各市、県でやっているわけではない。ただ、それはやはり独裁政権時代の名残なので。日本はもうご存じのとおり、もう大変じゃないですか、ICカードーつをとっても。だから、ちょっとそういうのと、それから、最初に申し上げてしまうと迫力がないのですけど、特に地方を含めての自治体に関しては、全くもって経産省が手が出る分野じゃないですね。やっているのです。例えば、分離調達を進めましょうとか0SSに関してのテクノロジー レファレンスモデルなどを作って、 行管局にも教育に行って、ぜひそうしましょうと言っているのです。国レベルのCIO連絡会議でもその議論をしてもらって、というところまでなのですよ、経産省でやっていいのは。そこから、自治体にどうしなさいというのはあくまでも総務省の判断なのです。おっしゃるのでいくと、やはりそれぞれの地域ごとに、市長さんであれCIOであれというのは、むしろ皆さんの方が近いので、各地域で変えていって、それをベストプラクティスとする。仮に、われわれがやるのだったら、IT経営応援隊とかの中のカテゴリーにも入るので、表彰して、大臣賞とか出して、ほらこれが当たり前でしょうとメディアに書かせて応援するのがぎりぎりです。それ以上やると、無理です。だから、ここばかりは本当に、国の省庁の在り方とか、すべてが悪いのです。

横尾 一応、情報処理振興課だから。もっと言うと、 皆さんの言っている、その産業を育成するために、国がやれることというのは知れているのです。お金を出すか、税金を安くするか。もう一つは、一番大きなことは仕事を出すことなんです。そういうことですよね。仕事を出すことによって実は地方の企業を育てることができるんです。別に高い金を出さなくても、普通の値段で出せばいい。あるいは、中小がそのまま取ると安くなるかもしれない。それを今まで全く怠ってきたのですよね。

八尋 それはなんの仕事と思えばいいですかね。調達ということですか?

横尾 IT関連の仕事というと、地方もあれば国もみんなあるのです。要するに自分たちが出せる仕事があるのです。調達できるものがある。そういうことですよ。

小俣 例えば、僕なんか今、国立情報学研究所と提携して一緒にやっているのです。また、NP0でネットコモンズというのを作っています。今年屋久島で、100万円でIT化しましょうというプロジェクトをやったんです。確かに100万円でできたのです。いわゆるホームページのパッケージを作って、全部今無償でやっているのです。その屋久島の近くの企業にメンテナンスを頼みました。それで100万円でできた。これはホームページを見ていただいたら分かります。それから、全国の今、公立小学校、中学校、そこに無償でどんどんそのパッケージを提供しているんです。それがいわゆるホームページを誰でも作れる。それから、携帯電話で学生が全部応対できる、 父兄が全部できる。 そのシステムを全部提供しているのです。これについて、先日中小企業基盤整備機構の幹事の方と会って、 このシステムを中小企業に提案していこうではないかということで打合せをしました。今まで文科省からだいぶ補助金をいただいて、パッケージでは2.0までいったのです。今度これを僕達のNP0法人から中小企業に全部無償で提供していけばいいのではないかということで話をしています。

そうすると、地方の自治体からお話がどんどん来るようになりました。先日も、一橋大学がメインなのですけど、セミナーを実施したのですがいろいろな自治体の人が600人ぐらい来るんです。その地方の自治体の人は、地元の小さな、10人ぐらいでやっている会社とかインターネットの会社、そういう人にみんなメンテを任す。パッケージはわれわれが提供して導入と連用の為にl日か2日、指導に行くのです。それをやって、あとメンテナンスはその会社に任せるという形です。今そのコンソーシアムを作りつつあるんです。これについて僕たちは経済産業省へ報告しようとしていますし、*国立情報学研究所*の新井という人と一緒に、民間でどんどん普及させようということをやっています。これは小さな話ですけれど、このようなやり方でも地方の業者が潤っているのです。メンテナンスは、たかが知れています、年間にそれこそ、50万円とか30万円、20万円かもしれない。でも、それがまた尾が広がって、学校のメンテナンスも要るのです。今、千葉県の教育委員会に全部それを採用していただきまして、千葉県の中、高はほとんどネットコモンズのパッケージを使っていただいています。われわれは、千葉県の業者にメンテナンスを頼むというので、NP0と契約して、そこで全部メンテナンスを任せる。こんなような小さな取り組みをやっています。これが地方の活性化といいますか、そういうこともできるので、 これは中小企業にどんどん普及させたいと思っております。小さなことですけれども、いわゆる、業界発展のために何か一つの示唆になるのではないかと思っています。

国立情報学研究所が今、一生懸命やっていますから。基盤整備機構からもぜひ、これはいいなという話をいただいておりますし、これはぜひ考えようかなという話もして頂いていますので、八尋課長にも是非また、あらためてご指導をお願いしたいと思います。

中島 地方、あとどうですかね、地方の状況とか。

岩舘 私は青森県なんですけれど。この間まで全国的に好況だってずっときていましたかれど、地方はもう、ずっと低迷ですね。低迷ですし、有効求人倍率でも沖縄とビリを争っているような感じです。 これは構造的な問題で、これだけ日本企業が外国を使う事で稼いでいる、そういう会社がある地域はまだもっているということになっていますが、青森県なんかですと、そんな企業はありませんし、今の県人口がl40万人です。何年か後には100 万人を切ると言われています。

県としても、県知事が一生懸命頑張っているようですがやはり、野菜とか果物とか、そういう食品加工の産業をもっときちんと育成してやっていくということで、地場で元気な企業を作っていかないと、人口の減少にも歯止めがかからないしそれに付随して産業全体が衰退して全部駄目になってしまう。

短期的な話ではなくて、もっと長期的に、わが県とかわが地域とか、これは恐らく青森県、秋田県、岩手県、北三県は大体似ていると思います。ただ、南の方は今自動車産業を誘致するということで、頑張っておりますけれども。

中島 いや、その自動車の計画はストップしてしまったんですね。宮城県はトヨタ来る予定が、ストップしたと宮城のソフト業界の方々もがっかりしていました。今すごい衝撃が来ている。先ほども岩館さんがおっしゃったような今後の発展を予測して、それを前提にしてみんな準備していたのが、 みんな前のめりになってしまった。

岩舘 われわれのビジネスでもそうですけど、大きなパイプで成り立っていると、危ないのですよ。安定しているといいのですけれどね。いわゆる小さいお客さんでも、数をいっばい持っている、いろいろな業種持って、そしてつながっていると比較的安定。大きなパイプでやっていると、それが崩れてしまうと全部崩れてしまうというようなことがおこりうるんですよ。

小俣 最近特にありますよね。大手のSIヤーとか、大手のメーカーと組んでいて、その下請けをやっていると、コンプライアンスが厳しいですから、二次下請けが駄目とか言いますと、自分の社員、あるいは契約社員なのですが。そうすると、この今、ちょうど厳しくなると、 例えば一部請負をやって、一部派遣をやって、派遣を全部返されたり。最近そういうケース多いですよね。結構、今この業界は建設業界と同じようなものですから、やはり、月に何十社も潰れてるんじゃないですか。よく相談に来ますね。この業界では50人以下の20人、30人の企業が一番厳しいみたいですね。 下請けのまた下請けですから、そうするともう仕事がないんですよね、切られてしまうんですよね。

舟橋 私どももやはり同じような問題をかかえています。今までの多重契約がけっしてよいとは思いませんが、現状の契約形態は、元請けからみた場合、一次下請けの会社だけの契約の方向へ移りつつあります。そのような状況の中では非常に厳しいのです。また、社員でも契約先から戻されたら次の仕事に就く事が大変困難になっていますね。何年か前にも同様の事があったのですが、結局、技術者が返されて仕事がなくなると、その技術者がどんなに優秀であっても、次の仕事に就けないという場合が生じるのです。最終的には辞めて別の業種に行くということは、せっかくここまで技術を持った人を育ててきたにも関わらず、そこで消えてしまう。 それで次に景気が今度良くなったときに人材が欲しいと思っても、 もう戻ってこないのです。

こういう技術者の集団というのは、蓄積でもって成り立っている業種だと思うのですけども、 そういった企業においても業務縮小などによってどんどん優秀な技術者が切られていくということになると、この業界にとって非常にマイナスになります。ですから、マイナスにならないためにはどういう方法があるかということも、もうちょっと根本的に考えて頂きたいのです。先ほど横尾さんがおっしゃった、やはりIT業界としてのきちんと確立した法を作っていかないと、業界的に非常にマイナスではないかということを日に日に感じております。

八尋 一応、まだ動きはこれからですけれど、今日お配りした資料の中で資料の3-lの22ページに、この間600人集まった地域イノベーションパートナーシップの1枚絵だけが出ています。この中にも、文字だけ入っていますけど、人材教育連携だとか、今おっしゃったようなことは、例えばANIAからは上がってきています。まさにそのために、この連携施策を取ろうとしていますので、もちろん目標の中に該当はしています。そのプーリングの、例えばこの方がほかのところで、ユーザー産業も含めて、いったん出たとしても戻ってきたり、もしくはその時のために含めた教育もしようよというようなところに対して、補助金を用意するなど、含めてやっていこうとしていて、来年度の予算の対象にもなっています。詳細については至急うちの課と議論を詰めないといけませんね。

小俣 リクルートを毎年やりますよね。零細企業ですから優秀な人材というのは大体大手へ行つちやうんですが、例えばこの業界で技術者を採用する場合、4月に入社するのであれば大体3月ぐらいから教育を始めるわけですよ。

私どもの場合は、3ヵ月間は学校へ行かせたりするんですね。新卒で、給料を払って、いろいろな開発技術をね。それを一生懸命やるんですがやっばり1年生ですから、大学出ていてもなかなかレベルは上がりませんよ。 一生懸命やってるんだけど、なかなか仕事がないというのが現状です。最近は特に、こういう不況になりまして、不況になるとお客さんの方が、ハイレベルな技術者を要望するのです。ある程度キャリアを持った人で30代位。50代は駄目とか、条件がたくさんございます。その辺が今一番頭が痛いところなのです。

舟橋 今まで需要があってたくさん仕事があるときは、社員がそれなりのグループを作っている下に、新入社員は3ヵ月か4ヵ月研修した後、 じゃあそこのところに指導しながら入れていくというのがありましたけれども、今のような状況になると、もう新人どころか、今ある程度の人でも受け入れられないような現状が起きておりまして、非常に厳しいと思っております。

真杉 今のお話の中でもありましたように、 IT業界で構造的な部分で、 6重、7重の下請け構造があったということもあります。もうこれから以降は、上からの仕事の流れで、生計を立てていくような企業の仕組み、それはもうあり得ないのではないかなという気がするんです。これがIT業界の仕事であったのは過去の話で、これからはもうそれはIT業界ではない、人材確保、人材供給業だということになってしまうのだと思うのです。

そこのところをやはり、いわゆる経営者も考えを改めなければいけないだろうし、自分自身が、上からの仕事ではなくて横からの、つまりエンドユーザー直の仕事を小さい仕事でもいいからたくさん取りながら、自活していかなければならない。自分自身の従業員をきちんと教育して、そこでノウハウをためていく。上から下の階層構造の流れの中での業界ではなくて、そういうことを見据えた上で中小企業の育成が必要だと思います。

その一つ、先ほどちょっとネットコモンズの話が出ました。自社の会社の基幹システムを作ろうと考えた際、数千万円かかるなと試算したのですけれど、いろいろ調べた結果、ネットコモンズというソフトを使えば、これが100万円単位でできてしまうという結論が出た。もちろん、ネットコモンズはいわゆるオープンソースですから、運用していくにあたって、最終的にどこかの機関が潰れたらそれがなくなってしまうというのは困るのでどうやって管理するというかという問題がついてまわるのですが、そういうものを活用して中小企業が自立できるような、仕組みが作りが必要かと。その仕組みは法律で規制するのではなくて、法律で許すような、何がしかそういうものを作っていく必要があるのではないだろうかなと。ネットコモンズは、IPAが何十億もお金を出して作ったシステムなんですよ。誰もそれを知らないんですよ。そういうものを活用するべきだと思うんですよ。

中島 作り終わると、そこで終わってしまうのが通例ですね。活用している例を世間に紹介して広めていかないといけません。先ほど八尋さんがおっしゃったように表彰するのも一案です。活用例として表彰するとか、 きちんと、そういう先例を告知する必要ありますよね。

田淵 私は広島から来たんですけど、広島は、新聞でご存じのようにマツダの問題とか、それから携帯電話のシャープの問題で、一気に悪くなった感じがするんですよ。今リサイクルとか環境とITを結び付けようと今いろいろ努力させていただいているのです。ですが実の所、リサイクルの方のNP0の団体などへ行ったら 「私のところはlTは分からない」 と言われてしまって。どう結び付けて良いのか。

11月26日に開かれたパートナーシップの会合に出たのですが、とにかく広島の経済産業局の方から「出席してよ」というような、そんな雰囲気だったので行ってみたのですが。今ひとつ掴めていないのです。一つにはこの会合、中国地方というか広島だけがそうだったかも知れないのですが、 ユーザーであるリサイクル関係の方はおらずIT系の人ばかり出ていたのです、現実には。

何が困っているかというと、IT経営応援隊にしてもそうなのですけど、大企業を経験したコンサルタントの人が多いので、一つのことには非常に、ものすごく詳しいのですが、実際パートナーシップとしてユーザーとITを結び付けて頂きたいと考えた時に問題が生じます。例えば私どもが実施したいと考えているLEDの望光灯を導入について、税金はどうなるのとか、建築的にはどうなるということを相談するとこれは分かるけどこっちは分からないみたいな事が多いのです。結局あなたが調べればいいんだよと言われるのですが中小企業としては人材も人手も無いのですからとてもつらいのですよ。こっち行ってこっち行って、で、どうなの、というような盥回しのような回答は…。

それで、とにかく地域イノベーションで複数の業種を結び付けるというご計画があるのであれば、ぜひお願いしたいというのが、今日ワンストップサービスみたいに、何かこう、分野がまたがるところについて、 全部知るというのは無理だと思うのですけど、こっち行きなさいよとかあっち行きなさいよという、コントロールタワー的なものを地域で組織化していただくと、 非常に効率がいいのですがということを感じました。

僕ら中小企業に対して金融の支援をしていただくのは非常にありがたいし、これからも続けていただきたいのですが、本当にそれで持つかなというのが非常に不安ですね。先ほどのアリババさんの話も出ましたけど、私のところにもアリババさんから電話がかかってきまして、中国へ輸出しないかと。「どういうサービスしてくれるんだ」 と言ったら、「まだできてない」とか言っていましたけれど。非常にスピードが速い、日本をすごく勉強している。それはよく分かったので、 僕らもやらなきゃいけないんだけど、やり切れない部分が多いので出来たら情報支援サービスですかね、そういうご支援をお願いしたいと思いました。

八尋 多分過去にみんないったん止まったことなんですよね。さっきまさに協同組合とおっしゃったように一時期各地域でソフトウエアセンターを作っていました。ソフトウェアセンターについては結局、当時必要で、各地域地域ITがわかる人、ソフトウェアが分かる人をコーディネーターみたいに置こうと。でも何となくでは機能しないんです。緊急措置としては、JASPAとしてご意見やご要望を纏めて提示していただけたらと思います。例えば、今おっしゃったようなこともいいですし、先ほどのネットコモンズも含めて、われわれがちゃんと分かっていないこと結構あります。だから、 JASPAとしてこんなのがありますという、 一つ一つについてワード1枚ぐらいでもあれば動けますから少なくとも何かこの施策に近いなと思ったところには、はめ込むようにします。

さっきのネットコモンズなどは、せっかく情報化月間をやっているのですから大臣表彰へ是非推篇して下さい。そうやって注目させるきっかけを作って頂けたらと思います。
去年のIT経営応援隊のときの大臣賞に挙がったものは、もう取材されっばなしになっていますよ。それで、「あ、そんなのがあるんだ」 と分かるので、ああいうベストプラクティス手法は、ものづくり100選もそうですが、案外ばかにできない手法だと思っています。ですから、それはきっちりやりたいなと思います。だから、早くそこを変えていただくにはもう、JASPAから発信していただきたい。われわれも受け取ったものはできる限り違う省にも含めて出していきますので、何かいくつかあるものが、地方施策としてはこうだとか、下請ものではこうなのだというところに、まとめる努力をわれわれもしますので一緒にしていただいて、JASPAもこう言っている、JISAもこう言っているという形につなげないといけない。今のままでは大きなワンボイスにならないのです。

JASPAのメンバーの中にはいろいろな高いレベルの人から、下手すれば派遣でキーパンチャーを出している会社もあるのですが、省庁が違うので何とも言えないけれども、その辺が、認識があるかどうかということでお伺いします。GIS、要するに日本の座標軸は、世界の標準座標軸からずれているということはもう言われて久しいのです。これは、国土交通省とか県レベルだとか、いろいろなところで保管している過去に造った道路であるとか橋であるとか建物であるとか、全部GISが変わったときには、昔の図面を持ってきても駄目になってしまうというか、IPという起点から測っていくと全部ずれてしまうことになるのです。それで、IPを世界標準にポンと合わせて、この図面を全部マイクロチップか何かに落として、電子化してやる。その入力業務だけやっても、何十兆円という規模になるはずなのですよ。しかも、保管する書類がものすごい数になっているのです。空いた倉庫も活用出来ますし、保管料だって。。。

岡積 ちなみに10万人都市で、年間で、いわゆる建設関係だけの入力作業、いわゆる地図情報の変更等入力作業で平均で2億円から2億5000万ぐらいです。

八尋 ちょっとそこはね、すみません、分かっていないわけではないですが、それを払う人というのは、恐らく今利用者想定できてないんです。だから、そこは先ほどのモバイルの話にまた戻るのですけれど、日本で、やはりその辺を使おうという人は世界的にもグー グルやアマソンみたいな人たちなんです。決して通信会社みたいな人ではないですよ。そういうことを使おうとしているのは。

石渡 昔のままでもいいわけですからね。

八尋 ええ。だってそんな膨大なお金を誰が払うのといったら、そういうすごい魅力的なサービスにして、恐らくは無料サービスで、何か企業系から広告とか取ってくるようなビジネスにしないと、 何兆円ものにならないですよね。だから今、地理空間情報のは自民党とかでどうなっているかというと、全然違う方向に彼らは行っていますよ。 要するにまた、ロケットから打ち上げて、人工衛星を飛ばそうと。そこで新しい地理空間情報を取るんだ。その話で終わりですよ。なぜかというと、そこだけしか政治家には分からないです。今の話だと、結局それを構築できるビジネスモデル屋さんが日本にはいない、そういう市場が日本には全然読めない。それでおじゃんです。ですから、構造的にはITサービスを融合して何かできますいう人を、日本に本当に育ててこなかったことのつけが、われわれも含めて、ものすごい責任です

中島 テーマとして残したもので、グリーンITがありますね。青森がデータセンターの適地として考えられないか、要するに熱量をどうやって冷ますか、 そのアイデアとして雪や寒冷気候を利用するのも一つですね。データセンターの作り方で北日本が有利なのではないか、という話。それから、もう一つは、 もともとなぜあんなに熱量が出るようになったかというと、 微細化が進み始めて、今から5~6年ぐらい前からリーク電流が出始めた。 そのリーク電流というのが、 要するに無駄な電流が、漏電しちゃうわけです。それが大体今、 半導体の熱使用量のうちの6 割ぐらいだったかな。

その6割が発熱しているものだから、それを冷やすためにまた電力、冷却用の電力がいるという、そういう状況になっている。先ほどのグリーンのための強い産業、ファクターの産業というのは、半導体の材料技術とか、これはもう日本が圧倒的に強いので、もう1回半導体の技術で日本がリーダーシップを取れる可能性があるのですよね。特許なども、相当日本は取っているはずなんですね 半導体分野では。

八尋 今日の午後が、実は自動車なんです。似ていますけどJASPARの年度集会があるんです。ようやく来年からホンダ車、トヨタ車含めて共通基盤の部分を実装することになるんですよ。デジタル制御の共通基盤は、欧州が先を行っていましたけれど、日本もこれでやっと実装までいきます。無駄な競争はやめて、アプリレベルで競争して、そういうことをやることによって、少なくとも車間の衝突を避けるような新しいサービスも、高級車しか今入っていないようなものが、かなりコスト安で入れられる。それからあれは、根本的にはもっと怖いのは、欧州は今、自分たちも景気悪いので、新しい安心安全基準の中に入れて、欧州のAUT0SA Rというものに満たしていないものは、場合によっては輸入規制をかけるとで、一応AUT0SARという向こうの団体にはトヨタは入れているのですが、発言ができないのです。

石渡 それはボルボが主体になってやっているものじゃないんですか。

八尋 ボルボとかBMWとか。実際はボッシュですね。今ボッシュが今全部部品規格を決めているわけで、自動車メーカー側に決める権利がないのです。でも、それが少なくとも、パソコンのウィンドウズと似たようなところがぱっとできてしまったんですよね。だから、この間もトヨタの専務にお会いしても、もうボッシュに決められた企画がいっばいあって、それにも合わせなきゃいけない、JASPARにも合わせなきゃいけないで、もうきゅうきゅうとしているんですよ。最悪なのは、ご存じのとおり日本の経済の中に占めるトヨタ等々の自動車産業依存が年々高まっているのです。部品産業全部合わせると、昔の25%ぐらいからどんどん増えていって35%ぐらいです。これが吹つ飛んだらどうするんですかと。

下手をすると、安心安全基準の多いEUとかの流れの中で、簡単に言うとボッシュ規格にしなさいという流れがあった瞬間、日本車は少なくとも欧州では幅を利かせなくなる。少なくとも次のサービスの技術規格とかができない。最近、ITS2008がアメリカでありました。そこでもう言われ始めているのは、もう車と見ていないんです。モビリティサービスなんです。電気自動車の時代ですから。 要するに、サービスの一環です。電気自動車になってその人に合った、 前の日のブログ情報も含めて、電気を供給する時に情報を得ようという時代になるんですよ。そこまで議論が始まっている。日本は、電気自動車というと、先ほど言ったエコとかの観点では進んでいるのですが、そういう、トータルとしてのサービスという発想がものすごく弱い。そこから入っています。だからEUなどはプライバシーの処理の仕方と、先ほどのような車の安心安全基準を一緒にちゃんと議論している。

だから、日本の自動車メーカーの経営陣にもそういう話をして理解して頂いているのです。

岡積 燃料電池はどうなのですか。

八尋 燃料電池はまだ頑張れますよ。ただ、燃料電池というところだけで走ると、先ほど言いました、全部の体系としての車のモビリティサービスという新しい基準ができたときに、電池だけ強くても、要するにNASAの口ケットには載せてもらえるけれどという、要素技術の扱いと同じになってしまいますよ。それはばかにできないし、いい技術だと思いますけれど、 それでは日本の今支えているような日本の自動車産業の維持は無理です。われわれ含めて全体がそれを全体で考えるというのがものすごく苦手ですよね。

舟橋 いろいろな業種がそういうふうにだんだん、世界の標準的なものに変わっていくというのはもう間違いないわけですね。

八尋 そうですね。基本は絶対ハードからソフトで、ソフトからさらにサービスです。みんなサービスですと言うからグーグルみたいなものを。車もモビリティサービスだという。そのサービスだという概念のところが分かれば、アーキテクチャ全体が、設計自身が大事だと。だから、そんなのを縦で、自動車会社ごとに握ろうなどというのは間違っているということがすぐ分かるはずなんですけれど、そう思う経営者がものすごく少ないです。

去年も思つたんですけど、せっかくの議論ですから、私自身ほとんど答えられなくて申し訳ないので、是非新春にでも追補版としてもう一度議論の機会を設けていただけたらと思いますが、如何でしょう。

中島 そうですね、そうしましょう。今日の所は予定の時間が来てしまいました。近いうちに次回の予定を企画させて頂きます。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。