韓国企業との信頼ある協力関係を願う

投稿者:nakajima 投稿日時:土, 2014-03-15 15:29

 外国企業から韓国企業への特許侵害訴訟が急増しているそうだ。2013年は334件で、これは3年前の2倍に相当するという。訴えているのは米国企業で、かつては急成長していた日本企業が訴訟のターゲットになっていたが、どうやらその矛先が韓国企業に向いたようだ。これも、韓国企業の存在が大きくなったため米国企業との競合が激しくなったことを表している。
 特許侵害の有無は分からないが、日本から韓国への技術流出も20年来の日本産業界の問題である。日本のベテラン技術者がかなりの数、高給で韓国企業にスカウトされた。人とともに最先端技術が韓国に流れ、それが日本企業の輸出市場が短期間で韓国企業に侵食される原因となった、と思われている。
 しかし、この問題には日本産業界にも重大な失策があった。日本企業の強さの源泉の一つとされていた「終身雇用」を会社側が終息させたことだ。「終身雇用」を前提にして若いうちには薄給で激務でも、年齢とともに収入も上がる報酬体系で仕事に励んできた技術者が、突然、昇給の打ち切りや人員整理を始めたことに失望した。特に企業の発展に貢献してきた年収の多いベテラン技術者が「高コスト」の元凶と指弾され、人員整理の対象にされたのは、納得がゆかなかった。
 心血を注いできた会社に裏切られた思いの技術者たちが、一時であれ、働き場所を提供してくれ、長い間に蓄積したノウハウを活かして生きがいを与えてくれる企業が現れたら、そこへ人生を託すのは自然である。本来、まだ、能力を発揮できる技術者を自社の中で活用できる場所を用意できなかったのは企業経営者の失策である。社会全体としてもそれを活かす受け皿を創出できず、「旬」の終わった価値のない技術者として処遇した。韓国企業が暖かい手を差し伸べてくればベテランの日本の技術者たちがこれに応じるのは自然である。筆者の知人にも、そうして韓国企業に働く生きがいを見出したベテラン技術者が少なくない。
 言うまでもないが、日本の今後の深刻な課題は働く人の不足である。我々のソフトウェア産業関係でも、消費税引き上げによるソフト改修需要に続いてマイナンバー制度対応のシステム開発、東京五輪関連の新しい需要対応と、開発者不足は今後、さらに拡大してゆく懸念がある。もう一度、国内のベテラン技術者に目を向け、その知恵と力を発揮してもらうようにお願いしなければいけない。もちろん、隣国の韓国や台湾、東アジア各国の技術者の力を借りなければとうてい対応できない状況もある。
 韓国との間には、技術流出についての問題や政治にかかわる紛争が過熱しそうである。しかし、いたずらに対立に目を奪われるのではなく、どのような協力関係を確立できるか、考えてゆかなければなるまい。