強固なセキュリティの構築を急ごう

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2014-11-16 23:28

 8月に衆議院に提出したばかりの「サイバーセキュリティ基本法」が3か月足らずの超特急で参議院まで通過。前国会から臨時国会への継続審議になっていたため、参議院通過後、再度衆議院に送りなおして11月6日に成立した。8月の提案時に与野党6党の共同提案だったので、大きな対立点はなかったといえる。
 それにしてもなぜ、超特急だったのか。日本の行政や重要基幹産業の情報システムのセキュリティ対策が弱く、非常に危険なことを海外情報機関から何度も警告されたことが理由である。日本社会はリアル空間としてもスパイが暗躍しやすい「スパイ天国」だが、同じ感覚でサイバー空間でも防御が緩く、サイバー攻撃に対して「丸裸」で危険な状況にある。今年の春、政府首脳が欧米の情報機関トップと面会し、その実情を具体的に知って強くショックを受けたといわれている。おそらく、この現状が野党トップに伝えられ、最優先の「国防」案件として緊急制定となったに違いない。
 JASPAでは、12年初めの賀詞交歓会の際に開かれたパネル討論の場で、パネリストの平井たくや衆議院議員が、緊急の国家的課題としてサイバーセキュリティ問題を指摘していた。「海外からの日本政府や重要インフラに対するサイバー攻撃は、すでに、テロの段階からサイバー戦争といえる状況に突入した」と警鐘を鳴らしていた。今回の立法の原動力になったのも、平井議員だったようだ。基本法は大枠を決めるので、これから具体策が出てくるが、総理大臣が本部長を務めるIT総合戦略本部からセキュリティ関連を独立させて「サイバーセキュリティ本部」を創設、次官級の「内閣サイバーセキュリティ官」を新設して司令塔とし、権限と予算を付与して強力にセキュリティ施策を講じる、ということは決まっている。
 JASPAではセキュリティ関連のサービスに力を入れている。その代表が、インターネットを介して安全にデータ交換ができるVPN(仮想私設網)サービスのJASPA-NETである。メンバー企業、網屋(伊藤整一社長)が一般に提供しているVPNサービスをJASPA会員向けにカスタマイズして低コストで利用できるようにしたものだ。
 また、標的型サイバー攻撃に強固な防衛対策が講じられる「秘密分散法」のサービスがTCSI(シンクライアント・ソリューション総合研究所=田口善一社長)などから提供され始めた。JASPA会員のサービスの広がりをみていても、セキュリティ関連が重要なビジネス分野になってきたことがわかる。
 さらにJAPiCO(日本個人情報管理協会)である。JAPiCOは中堅・中小ソフト会社向けに、JISQ15001に基づく個人情報保護体制が企業として構築することを推進するとともに、個人情報保護に関連するリテラシーを高めるための個人資格「個人情報管理士」の制度を運営している。中堅・中小ソフト会社になじみやすい仕組みとして、JASPAが全面的にバックアップしてJAPiCOの発展を目指している。
 サイバーセキュリティは厳格に体制を確立しなければ、情報社会、情報社会の中の国家の存立さえ危うくしかねない重要案件である。サイバーセキュリティ法の成立を契機に、もう一度、日本のサイバーセキュリティの脆弱性に危機感をもってもらいたい。