ハラスメント判決~~社会は厳しくなっている

投稿者:nakajima 投稿日時:金, 2015-02-27 12:41

 2月末、最高裁で「セクハラ」に関する厳しい判決が下された。職場で部下の女性にセクハラ発言を繰り返していた男性を懲戒処分したことが妥当だったかが争われた訴訟で、大阪高裁の判決を逆転し、「セクハラ発言は職場環境を害し、従業員の意欲を低下させる。懲戒処分が社会通念に反するとはいえない」として、会社側の懲戒処分を適当、会社側勝訴の判断を示した。
 この上司のセクハラの内容は「環境型」と呼ばれるもので、職場の雰囲気を壊して従業員に不快な思いをさせる被害を拡散するものだ。かつては不利益な処遇をされないように性的な要求をする「対価型」が目立ったが、処罰例が多くなって影をひそめつつある。代わりに「環境型」の裁判事例が増えてきた。このタイプのたちが悪いのは、セクハラしている本人には他人に不快やストレスを感じさせている自覚がないことだ。場合によっては笑いをとって周囲を明るくしていると勘違いしてケースすらある。
 この裁判のセクハラ加害者も2010年秋から1年以上にわたって、20歳代、30歳代の2人の派遣社員に対して、「結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで」とか、「もうおつぼねさんやで。怖がられてるんちゃうん」などの発言を繰り返していた、という。さらに、露骨に性的な表現を使った卑わいな言葉も発していた、という。
 職場は、大阪市の施設の運営会社で、上司は40歳代の男性職員2名である。
 会社は12年12月に上司2人に対してそれぞれ30日、10日の出勤停止の処分とし、さらに課長代理から係長に降格させた。裁判は、この懲戒処分を不当として処分を受けた上司側が訴えて争われた。上司側は「この程度の発言はセクハラに当たらない」と主張していた。大阪高裁は、上司側の主張を認めて会社の処分は不だと判決したが、今回、最高裁は上司の発言や行為はセクハラに当たると認定し、会社の懲戒処分は相当であるとして、大阪高裁の判決を破棄し、会社側勝訴が確定した。
 裁判の記事から見る限り、大きな社会常識の変化に気が付いていない旧態以前の職場の実態を垣間見て、慄然たる思いである。
 男女雇用均等法が制定され、さらに、不十分だった点を改善した改定法が実施されて、従来は「男社会」だった職場の常識は根本から変えられた。「結婚もせんで・・親泣くで」などの発言は、男社会だったころは上司が親切心を装って「いびり」の悪意をもってよく聞かれた内容のような気がする。しかし、雇用均等法の精神は、男女とも、同じ自立した人間であって、生き方については当人の選択が最も尊重される。
 セクハラだけではない。会社の職務上で弱い立場にある相手に、心を傷つけるような言葉を投げかける「パワハラ」も、従来のように、軽い気持ちで発した言動が問題化するケースが多い。居酒屋でふざけあっているような感覚で、職場で軽はずみな言動をしてはいけないということだ。職場で働く者は上司も部下も、「仲間」として互いに尊重しあいながら、気持ちよく仕事をはかどらせるように心掛けなければいけない。
 特にソフトウェア開発に携わる技術者の多くはナイーブである。大阪高裁と最高裁で判決が分かれたように、社会常識は、より厳格な職場環境を求める方向へ移行してゆく過渡期にある。新しい常識を職場に浸透させなければ、会社が破たんしかねない。