障がい者雇用に工夫を~~旭化成アビリティを訪ねて

投稿者:nakajima 投稿日時:水, 2015-09-30 11:06

 水力発電所やバイオマス発電など再生可能エネルギーをフルに利用していることで有名なデータセンターが宮崎県延岡市にある。旭化成グループの旭化成ネットワークスの施設である。先日、IT協会(企業情報協会)の研究会のメンバーと一緒に同社を訪ねて、石油・石炭火力に頼らないデータセンターを勉強した。
 その際、せっかく延岡まで足を運んだのでぜひ寄って行ってください、と紹介されたのが隣接地に事業所をもつ旭化成アビリティの本社・延岡営業所である。旭化成グループの各種情報処理のバックヤードの業務をアウトソーシングしているが、「アビリティ」の社名にあるように障がい者雇用を目的に作られた子会社である。
 旭化成1社ではなく、グループ会社全体の中で障がい者雇用の比率に計算される特別子会社だということだ。歴史は古く、設立は1985年。すでに30年の実績がある。延岡のほか、岡山県・水島、静岡県・富士、東京に営業所がある。昨年末の資料によると、従業員は235人で、うち障がい者は214人。従業員の6割が延岡の事業所に勤務している。
 健常者の中に障がい者が孤立している多くの事業所のパターンではなく、同僚も上司もみな障がい者という職場である。その方が気兼ねなく仕事に集中できるようだ。
 訪問した事業所ではデータ入力の作業が主業務だった。 
 1つの職場は、同社グループの住宅事業部からの外注作業だ。分厚い設計図、仕様書類のデータベース保管のための入力だった。数多い図面類をスキャニングし、顧客番号、住所、氏名、電話番号などのキー情報を付けてゆく。図面類は背表紙を糊などで閉じられているのでそれをばらばらにしてスキャンイングし、終わった後、再び糊で綴じる、という作業を行っていた。普通の作業現場と同様に進捗状況はシステムで管理しているので、作業に遅れが出ている場所は必要ならサポート要員が補助に行くらしい。
 もう1つの職場はアンケート調査の回答をコンピューターに入力する作業だった。音声入力である。チェック項目は自動読み取りで入力される。音声を使うのはフリーアンサーの部分で、作業者が読み上げて画面に文字として表示される。正誤を確認してOKならエンターキーを押す。車いすに座った作業者がものすごい勢いで読み込んでゆく。
 健常者よりも感覚が優れているのでスピードが速い作業も多いそうだ。
 JASPAでも22世紀フォーラムの福祉委員会で、障がい者雇用の問題に取り組んでいる。障がい者雇用で有名なISFネットの現場の訪問も行っている。
 社会の要請で、企業の障がい者雇用の責任も重くなってきた。旭化成アビリティの現場をみて、いろいろ工夫の余地があると感じた。22世紀フォーラムの今後の活動にも期待したい。