労務提供型ビジネスで在宅勤務の工夫を~~企業存続の危機にならないか

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2016-07-10 13:30

「一億総活躍社会」を目指す必須項目に「テレワークの普及」がある。
 しかし、これまで企業の腰は重かった。「テレビ会議」はかなりの企業で使い始めているが、「在宅勤務」ということになると慎重になる企業が大半のようだ。
古くからの友人である宇治則孝元NTT副社長が日本テレワーク協会の会長に就任したのを機に「テレワーク推進賞」を引き受けたが、この候補企業の審査を通じても、まだ、「在宅勤務」を制度的に本格化しているのは珍しい存在だ。
最も進んでいるのは外資系で、IT関連では、日本IBM、日本オラクル、マイクロソフト、IT関連以外でも日本コカ・コーラが先進的である。海外の本社ではすでに定着しているので、当然のように日本でも在宅勤務がルールに取り込まれている。日産自動車も積極的に取り組んでいるので「おや」と思ったが、すでにルノーのグループに入って久しく、海外標準に合わせると在宅勤務は従業員のワークスタイルとして抵抗は少ないようだ。出産、育児休暇に加えて在宅勤務の採用で女性社員の定着率が高い。
日本企業では、ソフトバンクテレコム、NTTデータ、サイボウズ、リクルート、SCSK、CACなどIT系の企業でちらほらと目につくようになって来た。女性の定着化だけではなく、最近では企業の中核を担う幹部男性社員が親の介護の必要から早期退職に迫られるケースも増えて、在宅勤務でこれを回避しようという動きが出ているようである。
ただ、多くの企業は「在宅勤務」では「勤務状況の把握ができない」「管理上で無理がある」「日本企業はグループで助け合いながら仕事をするので在宅では無理だ」などの理由で真剣な検討に至っていない、というのが現状である。
そうした煮え切らない状態のところへ、ニュースが2つ飛び込んで来た。
「三菱東京UFJ銀行は7月から、社員の働き方を抜本的に改革する。顧客の信用情報を扱う銀行では難しかった在宅勤務を主要行で初めて導入。国内の約3万人の正社員を対象に時差出勤も認め子育てや介護をしながら働きやすい環境をつくる」というのが1つ。
 また「トヨタ自動車が、総合職向けの在宅勤務制度を大幅に拡充する。今は対象を子育て中の男女らに限っているが、総合職のおよそ半分に当たる約1万3千人に利用資格を与える方針だ。子育てや介護などの事情がある場合にとどめず、幅広い社員に時間や場所に縛られない働き方を認め、仕事の効率向上につなげるねらい」(以上、日本経済新聞)というニュースも伝わって来た。
トヨタのケースでみると、さらに「自宅でずっと仕事するほか、外出先から自宅に直帰して残った仕事をする、といったケースが考えられる。テレビ会議ができるパソコンの貸与など、環境整備も進める」という内容である。
 こうしたニュースに触れると、情報セキュリティのルールで自宅や外出先から社内システムにアクセスできない、として「在宅勤務」を排除しているところは、すでに技術的に問題はクリアできている、と説明は可能である。しかし、「派遣型」「請負型」で、発注者のオフィスに出向いて業務を行うビジネスが中心の協同組合の多くの企業では、発注元が許さない、として「在宅勤務」は最初から相手にしないところも多い。これは何とか打破しないといけない。というのは、在宅勤務が普及してくると、その制度のない企業には就職してくる若者が減ってくるからだ。人員獲得の面からも、「在宅勤務」は実用不可欠の制度になってくる。
 最初から「不可能」とあきらめていると、人材難で経営は成り立たなくなる。あきらめずに在宅勤務が可能になる仕組みを工夫してゆかなければなるまい。