身内の犯罪者を管理しきれるか

投稿者:nakajima 投稿日時:金, 2016-12-02 14:21

 古巣の日本経済新聞社で個人情報を盗み見るという犯罪者が出てしまった。
 11月30日の日本経済新聞は、「モデルの押切もえさんらの電子メールサービスなどに不正接続したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は30日、日本経済新聞社デジタル編成局所属の社員✕✕(29)を不正アクセス禁止法違反などの疑いで逮捕した」と報じた。
 所属がデジタル編成局ということは、電子版などを担当する編集記者である。
 記事では、「自宅の私物のパソコン」で女性タレント4人のメールサービスや保存サービスに不正接続した、と記述している。つまり、業務時間外のプライベートな生活の中で犯した犯罪で、「記者としての職務とは無関係」だった、と強調している。
 動機についても「出来心でパスワードを突破することに喜びを感じ、ゲーム感覚でしてしまった」と全く個人的なもので、手口も「容疑者は何らかの方法で入手した芸能人の携帯電話番号や、類推したパスワードを元にメールサービスなどに不正接続していた」と極めてマニアックなものだという側面を強調した。また「押切さんらのメール内容や個人情報が外部に流出した形跡はない」ところからみても、4人のメールなどの「のぞき見」で、ネット上にばらまく、というような嫌がらせの類ではない。有名タレントのプライバシーをのぞき見たい欲求を押さえられなかったのだろう。
 日本経済新聞のみならず、マスコミの記者がサイバー犯罪や痴漢などで逮捕されることがしばしばである。全国紙の記者、NHKや民放の放送ディレクターや記者が警察に留置されるニュースが報道される。大昔なら、警察も遠慮して発表しなかったり、発表があっても他紙が報道を自粛して表ざたにならないことも多かった。しかし、今は、そういう隠ぺいはしなくなった。他紙は同省者に対する同情はしなくなって、むしろ「ライバル紙をたたく良いチャンス」と目立つように報道し、足を引っ張るようになったので、当該報道機関も先に報道して謝罪したほうが得策と考えるようになっているのである。
 しかし、その報道の仕方には「私的な生活まで管理しきれない」という言い訳がにじんでいる。他の業界での事件では、上司や同僚が見破れなかったのか、というような批判も交えることがあるので、この辺の言い訳は苦しいところだ。
 実際の話に戻ってみると上司や同僚には立ち入れない私的生活時間での出来事が多い。痴漢や自転車泥棒、休日の夜の飲酒運転など、社員の行動を管理するすべはない。うっかり私的領域まで立ち入れば、プライバシー侵害、場合によってはパワハラ、セクハラともとられかねないので、「知ろうとしない」ことの方が安全だ。
 ストレスの多い情報産業の従事者には、他の業界よりもストレスの発散で、犯罪すれすれの領域まで立ち入るケースも多いのではないか。犯罪に手を染めないように、勤務時間中にストレスを逃してゆく手はないものか。
 犯罪者になった当人の人生が壊れるだけでなく、会社の信用もガタ落ちになる。
 特に不正アクセスのような犯罪は、高いスキルも持っている情報技術者には誘惑も多いのではないか。経営者、経営幹部が従業員私的時間に立ち入るのが難しいのは分かっているが、そこであきらめずに、なんとか工夫をしてゆかないとなるまい。身内から犯罪者が出るのは身を切られるような思いである。