働き方改革への意識の切り換え

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2018-05-01 09:21

4年ほど前から、筆者(中島洋)は日本テレワーク協会の「テレワーク推進賞」の選考委員を務めてきたが、ここ数年間でテレワークの普及は急ピッチである。良く知られているように、銀行や保険会社が率先してテレワーク採用のためのアイデアを凝らしている。もちろん、従業員に厳しい休暇取得が義務付けられている外資系企業では10数年前から当たり前のようにテレワーク制度が取り入れられている。当初の表彰企業は外資系企業が目立ったが、ここ数年では日本の大手企業の授賞も多くなってきた。大手企業に広がっているのは、テレワークによって生産性が大きく向上する、という効果が認知されてきたためでもある。
内容も大きく変化している。
日本企業の当初は、女性社員を対象に育児や家族の介護の支援策としてのテレワークだった。次いで男子社員に広がった。育児や介護の負担が大きくてオフィスへの通勤が困難で貴重な戦力の社員が退社してしまうのを防止するのが目的だった。しかも、テレワークでできそうな職種に限定して利用できるというものだった。
しかし、現在のテレワークは、育児や介護に限定せず、だれでも仕事がしやすい環境を選んでテレワークできる制度が増えてきた。ワーク・ライフ・バランスの観点からのテレワークの増加である。
回数も週1回や月5回などに制限していたものが、試験期間を経て徐々に増加し、時々の出社でOKとなったところもある。テレワークがデフォルトで、オフィスに出社するのが例外という状況だ。この環境で「副業」もOKというところに進んだ会社もある。まさしく意識改革が進展し、「働き方改革」への前進である。
職種も、「え? 大丈夫なの?」と思えるような職場に広がっている。洋服店の店長さんのテレワークまであった。現場であれこれ工夫してテレワークができる条件を創り出しているのである。人材派遣をテレワークで受け入れるという事例も出てきた。現場の「指揮命令」の問題など難しい面もあると思えるが、正社員がテレワークを始めたので、いずれにしろ現場での指揮命令はできないので、テレビ電話やテレビ会議、チャットメールなどで現場と同等の環境を形成して試験的に始めたということである。意識改革とともに制度改革も必要である。
そういう中で4月末、こんな記事を読んだ。
 「出張先を仮想オフィスに」というタイトルである。ある企業の会長は全国をトップセールスして出張が多いが、パソコンやスマホなどのモバイル機器を持ち歩いてテレワークで業務をこなしている。これらの機器をネットワークにつなぎ「仮想オフィス」を実現している。顧客に紙での資料提出を求められれば近所のコンビニに行ってプリントアウトする、というのである。
 この記事を読んで気がついたのは、筆者が20年前から実践しているワークスタイルが、まさしくこれだった。当初はコンビニのプリントアウトサービスはなかったので、求められれば、訪問先のプリンターに出力して済ましていた。現在は喫茶店、新幹線、一部の飛行機会社など、電源もあちこちで利用できるようになって、ますますテレワークの環境が整ってきている。筆者は副業だらけで、どれが本業なのか、最近は分からなくなってきている(これは冗談)。
 情報産業は最もテレワークに適した業種だと思っている。必要なのは意識改革と制度改革だが、その壁は急速に低くなっている。まず、仕事の仕組みを変えてみて、それが便利だということに気づけば自然に意識は変わる。そうすると邪魔な古い制度が見えてくる。そろそろテレワークを大々的に普及させて生産性を大いに上げることに取り組んでもらいたい。