高齢者の限界?

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2018-08-05 10:55

 筆者の個人的経験で恐縮だが、自動車運転免許の更新で「高齢者講習」を受けて来て、考えさせられた。
 5月下旬に誕生を迎え、免許の更新期となったので、1か月前の4月下旬に近くの警察署に更新手続きに行った。受付の警察官から、「高齢者講習の終了書は?」と提出を求められて、思わず「何ですか?」と聞き返してしまった。「え? 行ってないのか?」と語気鋭く、70歳以上で免許更新する人には半年前に高齢者講習の案内の葉書きが届いているはずとのこと、それを受講して更新手続きをしなければならないことを言い渡された。
 指示された通りに講習が開かれる自動車教習所に電話すると、8月末まで予約で満員だ、という返事。「6月末で期限が切れるので、何とかならないか」と懇願したが、「他の教習所に聞いてください」とあっさりと断られた。断るのに慣れている様子である。同じように懇願してくる人がたくさんいるのだろう。
 いくつか教習所に電話したが、8月末、中には9月初めまで空きはない、と事務的な返事である。ようやく「キャンセルが出て、7月30日に1人分の空きが出た」という教習所に行き着いた。「6月下旬で切れてしまうが」と困惑していると、「講習の予約ができていれば、3か月の延長をしてもらえる」とのこと。ただし、延長を申し出た日から3か月なので、できるだけ、6月下旬に近いところで申請した方が良い、と助言された。
 期限延長してもらい、ようやく7月30日の講習に赴くと、この日第一陣の受講者は12人。この人が運転するのか、と思える体力の弱った方もいたが、半数以上は元気闊達、すぐに打ち解けて世間話などしている。高齢者運転の事故の比率が圧倒的に増えていること、それが、加齢による能力低下に気付かない「過信」によるものであることなどを強調し、目視能力の低下を実感させる視力テストの後、1時間ほど、3人ずつ4組に分かれて実地の運転を行った。「合否が伴うテストではなく、自分の運転能力が落ちていることを体験してもらう」というが、さすがに緊張した。
しかし、何十年かぶりのS字クランクでは縁石に乗り上げてしまった。バックでの車庫入れでは後方を映すカメラがないので戸惑った。100項目近いチェック事項で2カ所ほどバツがついたが、これは相当に優秀な方ではないか。交代で運転した次の受講者は4分の1ほどバツ、最後の1人は優秀なビジネスマン風で、高齢者とは思えない外貌で運転も着実、S字クランクでかすかに縁石に乗っただけでバツは1つだった。
最後に教室に戻って講評を受けたが、講師は「いろいろ事情があるので、強いては勧めないが、免許証の返納、という道もあるので」と暗に「返納」を示唆した。返納した後に受けられる特典もいろいろ説明した。筆者は他人事のように「あの人は返納した方が良いな」などと思ったが、講師は僕にも向かって言ったのかもしれない。
しかし、予約が「4か月待ち」というのは異常である。うっかりすると更新し損ねる。予約者が膨張したのは、団塊の世代が70歳を超え始めたからだろう。事故率がにわかに高まる運転者が急増してゆくことになる。事故の起きにくいサポート機能付きの自動車、さらには自動運転自動車の需要がさらに増える。日本の人口は減少局面に入ったが、高齢者向けの新しい製品、サービスの需要、新しい市場創造の機会はたくさんある、と感じるところも多かった。