日本の生き残りかけた「中国シフト」を再考しよう

投稿者:jaspanet 投稿日時:火, 2010-09-14 12:06

「中国シフト」と書くと、「中国オフショアリング」と勘違いされそうだが、ちょっと違う視点で中国を考え直したい。僕の小学校時代には担任の先生から「かつて中国は眠れる獅子だ、と言われた」と教えられた。僕の小学生時代、つまり1950年代には、「眠れる獅子」ではなく、「眠れる獅子だ、と言われた」という過去完了形で語られていたのである。

 しかし、今や、「目覚めつつある獅子」どころか、「目覚めて動き始めた獅子」に変わった。2、3年後にはさらに「跳ねる獅子」「踊る獅子」に変身するだろう。その中国と日本の関係は、以前、中国は日本に資源や人材、工場を提供する下請けの国だった。それが、日本が人材を提供し、中国が市場となる関係に変わりつつある。少し乱暴だが、日本の側が中国の下請けになる、と考えた方が間違いない。僕が「中国シフト」と呼ぶのは、こうした関係を前提に、日本の産業界が根本からビジネスの仕組みを変えることを指すのである。

 その最も重要なことが「中国語」である。日本が繁栄を享受していたころ、中国では日本語ブームが起きて、大連では日本語を話せる中国従業員を雇うことは容易だったし、日本企業はそのことに満足しすぎてはいなかったか。英国が世界の覇者である時代に、英語はグローバル言語なったし、米国が世界のリーダーになってさらに英語のグローバル化が進展した。日本も繁栄のピークには各国に日本語ブームが起きて、日本語をしゃべる外国人が日本にたくさん出現した。しかし、いまや、その逆を、日本社会は志さなければならない。積極的に中国語を覚え、中国企業と協業する道を探るべき時代になったのである。

 その点で残念なのは、日本のソフト開発案件で「外国人不可」、つまり直接的には「中国人不可」の条件付きが多いことだ。日本人が中国に出向いて中国語を学ぶというのは手間もコストも大変だ。ところが、中国人の方から日本に来てくれるというのである。中国を学び、中国語を学ぶ絶好のチャンスではないか。

もちろん、スキルに問題があれば別だが、この点は同じ単価の日本人技術者のスキルよりはるかに上である、というケースが多いのだそうだ。もちろん、企業機密を守る上で、文化の違う外国人は使いにくいというのであれば、中国オフショアなど、最初から成り立たないはずである。それを志向する企業が多いというのは、使い方があるということである。

 本来なら、強い成長力がある中国の勢いを借りて日本ビジネスの再構築をもくろむならば、大量に中国に出向いて、七転八倒、さんざん痛い目にあって中国市場を学ぶべきだが、その代案としては、日本社会に中国人エンジニアを招いて中国と日本の橋渡しをしてもらい、順次、中国社会をのぞいてみる便法もある。

ここである程度習得してから多くの人数を中国に投入するのが必要な手順だろう。  日本の今までは「米国シフト」の60年間だった。しかし、太平洋の向こう側ではなく、東シナ海のすぐ向こう側に、遠くないうちに米国市場と同等の規模にまで発展する可能性のある「中国」という大国がある。好き嫌いではない。世界経済のパワーシフトが確実に起こっている。「米国シフト」から「中国シフト」に転換するシナリオを描かなければならない日は、刻々と迫っている。