セキュリティ技術者、「シニア」か「シルバー」か

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2018-12-09 10:17

先ごろ京都で開催されたセキュリティ関係のフォーラムを聞きに行って面白い議論に出くわした。「シニア」か「シルバー」か、である。
深刻化するサイバー攻撃にどう立ち向かうか。大きな課題の1つが「技術者不足」である。国境を越えて増大する攻撃に対応するには日本国内のセキュリティ技術者の数は圧倒的に少ない。巷間、言われる中国やロシア、北朝鮮などのサイバー軍の規模は、中国が10数万、ロシアは数万、国民の人口の少ない北朝鮮ですら、万に近い数千の数である。これに対して、日本のセキュリティ技術者の数は基礎的分野の技術者を含めて万に遠い数千の数ではないか。
そこで最近、セキュリティ分野の政府関係者の間で議論されているのが、企業を定年退職して業界を離れた高齢技術者の能力の活用である。
ごく最近、定年が延びたとはいえ、65歳程度。5、6年前だと60歳で定年、現場から去ってゆくのはさらに10年以上前、40代で「後進に席を譲る」ことを余儀なくされた技術者は結構、多い。しかし、現在、急に脚光を浴びている「人生100年時代」である。筆者はすでに70を越えたが、同期の友人たちには、「元気で意欲はある」が、「能力に見合った充足感を持てる機会がない」とこぼす人が少なくない。
こういう人々を「社会を守る」「企業を守る」という「やりがいのある」サイバーセキュリティのエンジニアに向かってもらうことはできないか。概ね、この年代は技術系に限らず、事務系の業務でもパソコンを利用し始めた世代である。基礎的な知識はある。新しいサイバー攻撃の手口、これを発見するツールや防御するための技術を学習すれば、短期間で圧倒的に不足している基礎的な技術者として活躍できる。
さらに意欲ある人には中級、さらにその上の技術を身に着けて強力な防衛陣の一翼をになってもらう。70歳前後は、向上心が強く、競争心も強い団塊の世代である。中にはトップレベルの技術者に成長する、という奇跡もあるかもしれない。
冒頭の議論に戻ると、この世代を何と呼ぶか、である。
最初、「シルバー人材の活用」という、やや上から目線の提言があったが、すぐに「シニアと呼ぶべきだ」という指摘があった。結局、「シニア」が適切だ、という結論に落ち着いた。確かに「シルバー人材」には、現役時代に現場で活躍してきたイメージが浮かびにくい。「シニア」には現役時代の知識を基に、さらに上級に向かう、というニュアンスを感じ、「やりがい」を刺激するという気がする。日本のサイバー防衛軍、「シニア」の活躍があれば、相当に強化されるのではないか。
定年で会社から去ったOBたちをもう一度、呼び戻してみたらいかがだろう。