職場の責任はどこまで?

投稿者:nakajima 投稿日時:金, 2019-02-15 10:01

 胸のつぶれる事件だ。
 千葉県野田市で小学4年生が自宅風呂場で死亡していた事件。父親による虐待死、母親も静止しなったということで「共犯」として逮捕されてしまった。放映された写真で見ると、実に可愛い女の子で、親ならばもっと可愛く感じたはずなのに、いじめ抜いて、最後は死に至らしめてしまった。沖縄県糸満市から1年前に野田市に転居していて、父親の転勤に伴う引っ越し、転校だったと報道されていた。
沖縄で仕事をしている筆者としては少し憂鬱な気分だったが、時間を追ってネットにはこの父親の情報が流れてきた。沖縄県の外郭団体の職員で、沖縄の本部にいるころから子供の虐待の話は広がっていた。この転勤も、周囲の目から逃して、新しい環境に移すことが目的だったのかもしれない。この付近の経緯はまだ不明だが、組織の側では、問題が表面化しないように東京に転勤させたとしたら、ただの「厄介払い」だったのではないか、と非難されかねない要素がある。
沖縄で同様の団体の理事長を務める筆者として考えさせられるのは、父親の所属していた外郭団体の理事長が団体の職員向けに謝罪の意を表明したらしい、という話が伝わっている点だ。職場としては、同僚が家庭内で子供を虐待している、というのは薄々、気が付いていたようだ。子供が学校に、父親の暴力について相談していて、児童相談所などが動き出していて、状況が把握できていたのではないか、と想像される。
東京への転勤もそれを踏まえての異動だったと推定できる。
この場合、職場はどのように対応すべきだったか。事件に発展してしまえば、この転勤の事情が議論になる。前述したように本部内に在籍しているときにトラブルが起きるのを避けて「厄介払い」したとすると、事件の遠因になったかもしれない、と非難されることになろう。「職場で異常に気が付かなかったか」と言われれば、管理者は「まったく知らなかった」とは答えられないだろう。しかし、知っていたとして、職場で実効ある対応策が打てただろうか。悩ましいところである。
 同じことは企業としても同様のことが問われる。
 家庭内暴力の原因が、職場でのストレスに起因するものである可能性もある。業務環境も見直さなければいけなくなるのではないか。職場は仕事をする場所で、家庭内のプライバシーには立ち入るべきではないという考え方もある。
 昔は従業員の家族も参加した職場での「運動会」などの行事もあって、職場の外の家庭のことを「職場に関係ないプライバシー」として無関心になることはなかった。その時代を知る人間の感覚では職場の問題である気もするのだが、現在の多くの社会人の感覚では「プライバシーである家庭内のことに立ち入るべきではない」というところだろう。
 ストレスの多い情報産業の職場である。従業員が職場外で起こす事件について、「職場は関係ない」と切り捨てることができるのか。「仕事と生活のバランス」を「働き方改革」の目標の一つに置くとすれば、非常に気になる問題である。