今度こそ行政の電子化を~~「デジタルファースト法」

投稿者:nakajima 投稿日時:土, 2019-05-11 11:47

 あの手この手で行政の尻をたたく――「デジタルファースト法」は、なかなか加速・進展して来なかった行政手続きの電子化を促進するため、新たに設ける「鞭」である。情報産業にとっては追い風の「デジタルファースト法」だが、法律だけでは進まないのがこれまでの経験だ。効果を出すためには、まだまだ、知恵を出し合わなければなるまい。
 「デジタルファースト法」は「情報通信技術を活用した行政を推進する」というのが目的だが、同じような目的でこれまでにも、いくつも法律ができてきた記憶がある。
 今回も中身は素晴らしい。 3つの原則がある。
 「デジタルファースト」「ワンスオンリー」「コネクテッド・ワンストップ」である。
 それぞれ、「個々の手続き・サービスが一貫してデジタルで完結する」
 「一度提出した情報は、二度提出することを不要とする」
 「民間サービスを含め、複数の手続き・サービスをワンストップで実現する」
 というのが、説明である。とはいえ、振り返ってみると、20年以上前、住民基本台帳ネットワークを議論し始めたころから同じ趣旨の原則が唱えられていた。最近のマイナンバー制度も同じである。また同じ原則を掲げなければならないのは、これまでの政策では十分な効果が得られなかったということである。
 特に住基カード、マイナンバーカードなどの個人を証明する「電子カード」は、情報ネットワークを駆使する電子行政の入り口になるはずだったが、残念ながら、なかなか普及しない。しかし、努力は続いている。最新のICカードであるマイナンバーカードは様々な機能を追加して利便性が拡充している。いずれその効果が現れてくると期待したいが、そのためには、行政組織の側にもいっそう、本気を出してもらわなければなるまい。
 デジタルファースト法は行政に「オンライン手続き」つまり、「電子手続き」を義務化するものである。しかし、欠点がある。行政側がこれを実現しなくても特に罰を受けることがないことである。これまでいろいろな電子化促進制度が出てきたにもかかわらず、なかなか前進しなかったのは、どうも、同時に罰則規程ができていないからではないか。電子行政に移行しなくても「予算が不足している」「技術が分からない」「職員が不足していて手が回らない」などの言い訳で責任を免れることができるからではないだろうか。
かと言って、罰則を設けるのは難しい。
やはり頼りになるのは、熱意を持って取り組む行政マンの活動である。罰則の有無に関わらず、使命感を抱いて電子行政の推進に当たるリーダーたちだが、この積極派が、消極的行政マンを突き動かして大きな潮流を作り上げる必要がある。
 デジタルファースト法が成立しても、これはゴールではない。スタートラインである。法律が目標とする電子行政、デジタル行政を実現するには、法律だけでは動かない。もちろん、法律ができるのは大きな前進だが、まだ、不十分である。この法律を活用して何ができるか。情報産業にとっては利益につながる。積極派の行政マンを応援して行政の電子化を、今度こそ大きく進展させなくてはならない。