ITは過去のものになった?

投稿者:nakajima 投稿日時:木, 2019-06-20 11:16

 先日、元ソニー社長の出井伸之さん(現クオンタムリープ株式会社CEO)と会食した。筆者が理事長を務めている(一財)沖縄ITイノベーション戦略センターの評議員をお願いしていて、その評議員会にわざわざ那覇まで足を運んでもらった。現役時代から遠慮のない物言いが魅力で、当時の経済記者仲間の人気を博していたが、この日も鋭い指摘をいただいた。
曰く「ITイノベーション戦略センター」なんて名称は陳腐なんじゃないの」。
 「俺たちは20年前にIT戦略会議だとか、日本のIT戦略などを作ったよ。20年も経ってまだ、ITなのかね?」
 実は、戦略センター構想の検討委員会の中でも、現在は評議員を引き受けてもらっている当時の検討委員の一人だった高橋秀明さん(元日本NCR会長・富士ゼロックス副社長・慶応大学教授など)も「名称にITを入れるのは時代遅れも甚だしい」と主張していた。そこで、会食に同席していた高橋さんに「ITはダメだと言ったんだけど、県議会を通すには一番わかりやすい、ということでね」と助け舟を出してもらった。出井さんにも「まだ、一般の人にはわかりやすいか」と納得いただいた。
 その際に「じゃあ何て名前にすればよいか」となったが、なかなか良い案は思いつかなかった。
 最近、ITに代わって使われるのは、ちょっと意味は違うが、「デジタル」が本流かもしれない。どこが違うか、というと厳密には定義できないが、ITはパソコンやケータイくらいまでか。スマホ、IoT、AI、ビッグデータ、ドローンと、主役が変わってきて、これらを総括すると「デジタル」になるだろう。
 かつても「デジタル革命」と呼ぶことはあったが、現在のデジタル革命はもっとインパクトがある。身近にスマホが普及し、だれでもが日常的にどこでもインターネットを利用し、そのスマホを道具として予想もしなかった新しいサービスが続々と誕生している。
 「デジタルファースト法」「デジタルトランスフォーメーション」など「デジタル」の用語も出現しつつあるが、まだ、なじみにくい。「沖縄ITイノベーション戦略センター」を「沖縄デジタルイノベーション戦略センター」と名称変更して、どうか、というと、まだしっくりしない。
 とはいえ、「IT」という言葉の賞味期限が切れつつあるかもしれない。
 「デジタル」も含めて包括的に現在進行中の変化を象徴する次の用語を検討しなければならないのではないか。