何でもTech(テック)時代なのであえて「リゾテック」

投稿者:nakajima 投稿日時:金, 2019-07-12 11:15

 いつのころか、ITを利用してある分野を高度化することをXXテック(Tech)と呼ぶようになっている。情報産業にとってはITを適用する分野の大幅な拡張なので、その動きは見逃せない。日本の情報産業界にも大きな需要創造につながる。
農業のITによる高度化はアグリカルチャーにテックをつけて「アグリテック」、金融(フィナンシャル)業界でのIT利用は「フィンテック」、教育(エデュケーション)分野では「エデュテック」、医療(メディカル)は「メディテック」、旅行(ツーリズム)分野では「ツーリズムテック」――などと情報産業の市場が拡大するワクワク感もあり、何よりも、ネーミングがスマートで、これなら長い間、若者の就職先として敬遠されてきた情報産業界にもまた日が当たりそうである。
 「テック」の流行に便乗して、密かに新たな造語の動きが始まっている。「リゾテック」である。発信地は沖縄である。
 観光地・保養地・行楽地などを表すリゾート(Resort)とTechを組み合わせて「ResorTech(リゾテック)」。観光地・保養地・行楽地としての沖縄をデジタル(IT)の活用によって高い質の別次元に引き上げようというのである。当初はツーリズムテックと呼んでいたが、沖縄は「ツーリズム」というより「リゾート」のイメージである、として「リゾテック」が沖縄経済同友会から提案された。同会で情報通信委員長を務める花牟礼真一三井物産那覇支店長が名付け親である。
具体的な動きもある。来年、2020年2月に「ResorTech Okinawa おきなわ国際IT見本市」の開催が計画されている。その「実行委員会」が花牟礼氏も委員の一人として、7月9日に発足し、同時に記者会見をして、見本市の概要やスケジュールを「事業構想」として発表した。
沖縄の地元メディアではNHKや民放、沖縄タイムス、琉球新報などの新聞などで大々的に報道されたが、もちろん、県外には情報はまったく届いていない。県外のメディアは、沖縄と言えば、基地の情報が中心、夏には観光情報だが、「見本市」など、現場の記者が記事を送稿しても東京の編集デスクは取り上げないのだろう。
 筆者も沖縄ITイノベーション戦略センター理事長として実行委員に加わった。
 世界の流れには遅れたが、日本でもようやく立ち上がり始めた「eスポーツ」も、検討してみると沖縄型の観光資源として魅力的だ。県内外だけでなく、アジアからの「eスポーツ」プレーヤーも沖縄なら参加しやすい。VRやARも観光を豊かにするデジタルツールである。沖縄の青い空、青い海の魅力は雨天では台無しである。VRやARの出番である。さらに体感を加えれば、海の上のパラセーリング、海の中のダイビングも、VRやARの施設の中で体験できるに違いない。実際にパラセーリングやダイビング、シュノーケリングに自信がない観光客でもしっかり楽しめるだろう。
 インバウンドの観光客が増加した結果、レンタカーによる外国人観光客の交通事故も続発する悩みも増えた。言葉が通じないために事故処理が手間取り、渋滞が長引く。自動運転自動車による事故回避も「リゾテック」に要求される先端技術である。また、昨今話題の「ワ―ケーション」も沖縄は最適地である。どのようなデジタル技術によって「ワ―ケーション」を充実したものにさせられるか。日本の情報産業界の腕の見せ所にもなる。
 実行委員の一人として今からワクワクしている。情報産業の市場は東京オリパラが需要のピークではない。観光など、新しい分野が次々広がってゆく。まずは、「リゾテック おきなわ」に期待していただき、情報産業の一つの未来図を垣間見ていただきたい。