待ったなしの「SDGs」

投稿者:nakajima 投稿日時:土, 2019-12-07 21:18

2015年に国連で採択した「SDGs」は日本の産業界、とりわけIT関連産業にとって見逃せない重要な取り組み課題になって来た。日本政府も内閣に安倍首相を本部長とする「持続可能な開発(SDGs)推進本部」を設置してきたが、もう1つ本格的な取り組みが見えてこなかったが、19年9月の内閣改造で小泉進次郎環境大臣が誕生して、SDGsの本当の意味がようやく共有されることになった。
小泉新大臣は廊下を移動しながらの「囲み取材」「ぶら下がり取材」の中で「環境大臣としての抱負」を問われて、大要、次のように語っている。「環境省は社会変革を起こすべき使命を帯びている」「それはSDGsを推進する担当省だからだ」「自分はSDGs担当大臣になったと思っている」というものだ。
ぶら下がりの政治部の記者の皆さんにはどのように理解されたのか、記事からは十分に読み取れないが、ネットでは小泉新大臣の発言を受けて「ようやく政府がSDGsに本格的に取り組む姿勢が見えた」と議論が沸き起こった。これまで内閣で「SDGs推進本部」が開催され、経団連の令和最初の総会でもSDGs推進が語られたが、なぜか、掛け声だけ、形だけの会議で、情熱も内容も伝わってこなかった。
それはSDGsがこれまでの社会の枠組みを根本から変えようという大キャンペーンだという認識が十分でなかったからだ。小泉新大臣は「社会変革」だととらえて、自分はSDGs担当大臣として社会変革の先頭に立つ、と宣言した、とネット市民は受けとめたのである。
実は現在いろいろな既存秩序の崩壊が起きている。これをITの側から企業・産業の大変革と映じているのが「デジタル・トランスフォーメーション」である。デジタルの効用を訴え過ぎた「攻め」の発想なので、人類の危機を背景に置いた自省的なSDGsの発想と趣を異にしているように見えるが、本質は同根である。
NTT、KDDI、日立、NEC、富士通と、日本のIT大手はいち早く、「SDGsへの取り組み」を決め、発信しているが、今一つ、社員にも取引先にも訴求できていない印象は免れない。これらの大手IT企業と深い取引関係にあるJASPAのメンバーの理解度はいかがだろうか。
SDGsがトランスフォーメーションと密接にかかわっているとすれば、現状を否定して新しい状況を切り拓くという破壊的な考えは、にわかに受け入れることはできないだろう。SDGsを宣言する大手IT企業も、そこまで踏み込んで説明はしにくい。主張はどこか中途半端で、トランスフォーメーションの迫力は弱められてしまう。しかし、実態は現状の否定も含む激しいものである。そうした発想の転換をしても、利益に結び付くビジネスの仕組み、産業の新しい仕組みは構想できる。「工夫をせよ」「矛盾を克服する新しい仕組み創造せよ」これがSDGsへの取り組みの本当の意味である。これにいち早くたどり着いた企業は発展する。新しい挑戦である。