じわりと広がる豚肉危機――経営者は視野を広く

投稿者:nakajima 投稿日時:日, 2020-01-12 07:33

ITだけでなく、企業を取り巻く環境の激変を注視しなくてはいけない。経営者は視野を広げないといけない。激変しつつある1つが食の環境の変化である。
嫌な予測だが、豚肉の価格が高騰しそうだ。
筆者が月のうち半分は生活している沖縄県が大変なことになっている。沖縄県うるま市の畜産農場で発生した豚コレラ(CSF)は隣接の沖縄市の農場にも広がって、11日までに6農場6683頭が殺処分の対象となった。これで収束すればよいが、まだ、予断を許さない状況だ。沖縄特産のあぐー豚も含まれている。
専門家によると、豚コレラは人間には感染しない、また、豚コレラに感染した豚肉を食べても害はない、と言われるが、消費者としてはやはり気持ちが悪い。考え方としては、需要が減退して豚肉価格が下がるという説もないわけではないが、実は、豚肉の需要は底堅いので、安全とされた豚肉に買い付けが集中して、供給が細る分、価格が上昇するという見方の方が有力である。
しかし、短期的な需給ではなく、長期的に見ると、実は事態は深刻である。
豚コレラは中国で流行しているのが伝染してきている。その中国が深刻なのである。中国の食生活は豚肉文化である。その中国で豚コレラが猛威を振るっている。日本ほど徹底した防疫対策ができていようで、収束の見通しが立たないらしい。発生すると日本同様に殺処分するしかないが、地方の零細な農場が中心である。飼育していた豚を殺処分し、農場を消毒して、安全になったことを確認し、生産用の種豚を購入する、
零細な農場にその資金が続くのか。豚は多頭出産で牛に比べれば断然、生産効率が良いとはいえ、一度すべてを失ってマイナスからの再出発は厳しい。生産農家の意欲が一挙に減退し、廃業する農場が続出するとみられている。仮に意欲を取り戻す農場があったとして、再投資し、生産が回復するのに数年、場合によっては10年近くかかる恐れもあるという。
その間、豚肉社会である中国の消費者が豚肉不足を我慢できるか。不満が蓄積して政情不安に結びつきかねない。政府は海外市場から豚肉の買い付けに乗り出すだろう。
日本でもスーパーの店頭をにぎわしているのは輸入の豚肉である。中国の巨大な胃袋が豚肉を買い付け始めれば、国際相場は数か月のうちに、じりじりと上昇するに違いない、と予測する専門家も出始めている。牛肉価格よりも豚肉価格が上回る、という事態も出現するのではないか、という。
豚肉はビタミンも豊富で優良な健康食である。特に沖縄では、鳴き声以外はすべて食べると言われるほど、豚肉料理は豊富である。その豚肉が高騰するとなると、沖縄の食生活も厳しくなる。国内の豚コレラだけでなく、海外に目を向けると、憂鬱になる。
もう1つ、ヨーロッパで起き始めた新しい傾向にも触れておこう。
ヨーロッパの若者たちの間に「牛肉を食べない」「牛肉を材料にしているハンバーガーを食べない」という動きが広がっているそうだ。牛は成牛になるまで年月がかかり、穀物を大量に消費し、穀物栽培のための水を大量に使用する(米国など地下水くみ上げによる農業を行う地域では)。SDGs(持続的な開発目標)運動に熱心なヨーロッパの若者が牛肉を避けるようになっているというのだ。
世界の価値観は大きく変動し始めているようだ。