ウイルスの邪魔をしない生き方?

投稿者:nakajima 投稿日時:火, 2020-05-12 09:16

 新型コロナウイルスとの「闘い」については考え方の変化が起きているようだ。マスコミの言葉の使い方の変化に現れている。「長期戦」の表現は「長丁場」を使う例が目立ってきた。「闘う」のではなく「共生する」、と言い換える動きもある。
 長い地球の歴史を考えると人間よりウイルスの方が先輩である。人間の方が新参者で、ウイルスはこの新参者を利用して繁殖しようと体内に入り込んでくる。その種類も圧倒的に多い。闘って完全に殲滅できる相手かどうか疑問だ。一種類のウイルスをやっつけても、また、変異して人間には負けない変種が出てくる。
考えようによっては、先住のウイルスの領域に人間が入り込んで抗争を起こしている。人間がウイルスの暮らしをかき乱しているのかもしれない。ウイルスを邪魔しない生き方を考えて共生の道を選べないか、というのである。それには時間をかける必要があるが、それは「長期戦」、つまり闘いではなく、共生のための努力の時間で「長丁場」と呼ぼうということのようだ。
身近な別の例で、同じようなことが言えるのは人間社会に現れる野生動物であろうか。
住宅地に現れる猪や狸のなどの獣害、畑の作物を荒らす熊や鹿の獣害である。本来、動物の生活圏だったところに人間が進出しているのでトラブルが起きている。動物が加害者ではなく、逆に動物の生活圏を人間が侵している、人間の方が加害者ではないのか。
 この動物との付き合い方には新しい大きな変化の予兆がある。「生物多様性」の尊重の視点から共生の道を探る動きである。これを包み込むさらに大きな運動として「SDGs(持続的開発目標)」がある。これまでの人間中心主義的発想を転換して、人間が滅亡することなく、存続してゆくために、自然との付き合い方を考え直そうという運動である。このまま地球温暖化が進めば、遠からず、地球環境が破壊され、人間の存続は不可能になるという危機感が根底にある。
 2015年に国連で決めた17の目標がある。その中に生物多様性の維持も含まれている。貧困の解消やあらゆる人々への教育機会の提供も目標になっている。そのためには、当然ながら、デジタル技術による支援が必要である。情報技術を扱うわれわれの業界の責任は重要である。
 日本でも政府、自治体、財界、企業、学校などでSDGsの取り組みは急速に進みつつある。コロナに関連してテレビに登場する地方自治体の首長さんたちの背広の襟にSDGsバッチが光っているのが目立つようになった。企業経営者も襟にSDGsバッチを着ける姿が目に付く。
 こういう社会のリーダーたちにSDGsの考え方が広まり始めているのは心強い。
 ウイルスを「殲滅する」のではなく、「共生する」という発想で、コロナ禍を乗り越える道はないものだろうか、と「自宅軟禁」を憂いながら考えている。