中国IT企業排除の裏側

投稿者:nakajima 投稿日時:土, 2020-08-08 12:32

 中国のIT機器やサービスに対する米国の排除姿勢や一部の欧州諸国が受容から排除への強硬姿勢への転換のニュースが続いている。情報産業に携わる者としては重大な動きとして注目する必要がある。何か、唐突のように思ったのだが、筆者は数日前にある本を読んで、中国に対する警戒どころか、排除を急ぐ米国や欧州の姿勢に得心がいった。
 筆者の考えを変えたのは、いま、識者の間でにわかに注目されている一冊の本である。「目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画」(日本版は飛鳥新社発行)。世界的に売れているらしい。著者はオーストラリア人だが、素朴な疑問から研究を始めて、とうとう秘密裏に進める中国の世界侵攻戦略に気づいたという、警告の本である。
 著者によれば、中国の「中華思想」による世界制覇の野望が着々と進行している。その最前線がサイバー攻撃や情報収集による世論誘導。各国のメディアに親中派を育て、中国の武力侵攻の露払いをさせている実態がここ数年で明らかになってきた。特にオーストラリアは欧米の輪の中で最も弱い国で、欧米の結束を分断する効果があるとして工作が進み、すでに政界までこの工作が及んできた、とみている。
 オーストラリアは十数年前から親中派に傾いてきた感があるが、今年に入って、急に中国への警戒姿勢が目立ってきた。あるいは、この著者が明らかにしている中国製機器の普及による中国政府への情報流出、世界制覇の戦略に警戒感を持ち始めたのかもしれない。
 米国の強硬姿勢も厳しさを増しているが、底流に、単なる経済問題ではなく、本格的なサイバー戦争に突入したことの認識があるのではないかと感じる。
 中国は各国の世論支配の工作と並行して、南シナ海の軍事進出、日本に関しては「尖閣」に対する積極的な攻勢を公言するようになっている。
 那覇に滞在して気が付いたことは、地元の新聞には尖閣問題は小さな記事としてしか扱われず、NHKの全国ニュースで初めて知るような具合である。すでに地元メディアはオーストラリア並みの工作が進んでしまっているかと疑いたくなる
 米国の中国への強硬姿勢はトランプの独り相撲かと思っていたが、米国議会も香港問題では超党派で厳しい対中姿勢に転じた。状況は肌で感じているよりも深刻かもしれない、と、オーストラリアの本を読んで危機感を抱いた。これが幻想であることを願いたい。